研究課題/領域番号 |
15K08008
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森川 敏生 近畿大学, 薬学総合研究所, 教授 (10340449)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Myristica fragrans / Chimonanthus praecox / CCR3 アンタゴニスト活性 / Carapa guianensis / リモノイド / Shorea roxburghii / オリゴスチルベノイド |
研究実績の概要 |
世界各地の伝承・伝統薬物資源から潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の治療に有用な医薬シーズを探索することを目的とする.すなわち,炎症性腸疾患の活動期において観察されるTNF-αの過剰産生により惹起される各種臓器障害や炎症反応などの種々の生体内イベントを軽減あるいは調節できる天然由来低分子化合物を探索するとともに,その活性発現の必須構造や構造活性相関を明らかにする.加えて,その病変部に顕著な増加が認められているマクロファージや好中球などのiNOS陽性細胞の活性化抑制作用およびその作用機序解明研究についてもあわせて実施し,もって新たな炎症性腸疾患治療薬シーズを発見,提案することを目的とする. 二年目の今年度は,昨年度ピックアップされたTNF-α感受性低減作用を有する有望素材のうち,メース (Myristica fragrans, 仮種皮) およびロウバイカ (Chimonanthus praecox, 花蕾部) に加え,生薬 麻黄 などにアレルギー性炎症に関与するケモカイン CCR3 アンタゴニスト活性を見いだした.また,昨年度に引き続き有望素材のピックアップを目的に,TNF-α感受性低減作用をはじめとした各種抗炎症作用試験を実施したところ,ブラジル天然薬物アンディローバ (Carapa guianensis, 種子および花部) に含有されるリモノイド成分およびタイ天然薬物 Shorea roxburghii 由来のオリゴスチルベノイド成分に,臓器障害モデルのひとつであるD-galactosamine / lipopolysaccharide 誘発肝障害マウスモデルに対する肝保護作用を見いだした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究所年度の昨年度にピックアップされた有望素材であるメース (Myristica fragrans, 仮種皮) およびロウバイカ (Chimonanthus praecox, 花蕾部) などに,新たな抗炎症作用メカニズムとして CCR3 アンタゴニスト活性を見いだすなどとともに,今年度も継続的に実施したスクリーニング試験により,新たな有望素材としてブラジル天然薬物アンディローバ (Carapa guianensis, 種子および花部) に含有されるリモノイド成分およびタイ天然薬物 Shorea roxburghii 由来のオリゴスチルベノイド成分などを見いだすに至るなど,概ね順調な進捗がみられていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
ピックアップされた候補化合物について,iNOS発現に至る細胞内シグナル伝達に及ぼす影響などを検討し,もって新たな炎症性腸疾患治療薬候補物質の提案に繋げたい.
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