研究課題
世界各地の伝承・伝統薬物資源から潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の治療に有用な医薬シーズを探索することを目的とする.すなわち,炎症性腸疾患の活動期において観察されるTNF-αの過剰産生により惹起される各種臓器障害や炎症反応などの種々の生体内イベントを軽減あるいは調節できる天然由来低分子化合物を探索するとともに,その活性発現の必須構造や構造活性相関を明らかにする.加えて,その病変部に顕著な増加が認められているマクロファージや好中球などのiNOS陽性細胞の活性化抑制作用およびその作用機序解明研究についてもあわせて実施し,もって新たな炎症性腸疾患治療薬シーズを発見,提案することを目的とする.事業最終年度である平成29年度は,薫香生薬である乳香や没薬に含有されるテルペノイド成分にマウス腹腔マクロファージからのリポ多糖刺激による一酸化窒素産生抑制活性およびiNOS発現抑制活性を見いだした.また,人参果に含有されるエラグ酸配糖体に,マウス初代培養肝細胞を用いたD-ガラクトサミン誘発肝細胞障害抑制活性を見いだした.加えて,昨年度にアレルギー性疾患に関与するケモカインCCR3のアンタゴニスト活性を見いだした香辛料素材のメースに含有される成分に,RBL2H3細胞からの抗原刺激により誘発されるβ-ヘキソサミニダーゼおよびTNF-α遊離抑制活性を見いだすなど,本事業により新たな難治性炎症性疾患治療薬シーズを,種々の天然資源より見いだすことに成功した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (40件) (うち招待講演 2件)
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