研究実績の概要 |
前年度に見出した4PBAおよびその誘導体による転写促進遺伝子や変動が観察された分子シャペロンや小胞体関連遺伝子(GRP78, GRP94, KDELR1, HSP110, calnexin, CSPG5, ERO1LB, TMEM158, p-eIF2α)について、タンパク質レベルでの変動をSH-SY5Y細胞を用いたウエスタンブロット法にて確認した。その結果、検討した多くのタンパク質で小胞体ストレス誘導剤として用いたtunicamycinによって発現上昇が観察され、4PBAとの同時添加でその発現上昇が抑制されず、さらなる上昇が観察された。小胞体ストレスによって細胞の防御反応としての発現上昇と4PBAの細胞保護効果としての発現上昇が相加効果を表している可能性も考えられるが、その証明にはさらに詳細なメカニズム検討が必要である。 GC/MSを用いたSH-SY5Y細胞におけるメタボローム解析を行い、4PBAおよびその誘導体添加時の二次代謝産物を解析し、その細胞保護効果の具体的なメカニズムを解明する目的で条件検討を行った。その結果、未処理群と比較して変動が見込まれるいくつかの化合物を見出したが、統計的に有意な変動を確認するまでにさらなる検討を続けている。
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