研究課題/領域番号 |
15K08022
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
谷口 俊一郎 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60117166)
|
研究分担者 |
肥田 重明 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10345762)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 固形がんの嫌気的環境 / ビフィズス菌 / 遺伝子組み替え / 抗腫瘍性物質 / 単鎖抗体 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実施計画と成果 1)ビフィズス菌において高発現で菌外に分泌される蛋白質の遺伝子情報を基に、プロモータ、分泌シグナル候補を探索し、発現させたい遺伝子のための安定で効率の良い発現分泌のための発現ベクターを構築する:プロモータ及び分泌シグナルの探索結果を基に種々の組み合わせの発現ベクターを構築できた。 2)TNFα等、毒性が強く全身投与は難しい抗腫瘍性のサイトカインや抗腫瘍性抗体医薬scFV(H鎖とL鎖をつなぎ一本鎖で機能する単鎖抗体)を設計し、B菌での発現分泌系を創製する:INFγ, 抗マウスPD-1scFvなどの発現/分泌系を創製した。 3)目的産物の発現/分泌菌株を用い、分泌蛋白質の生物活性を調べる。サイトカインの場合は腫瘍細胞に対するがん細胞毒性と免疫活性機能を、抗腫瘍抗体の場合は抗原への結合能や増殖への影響を調べる; 上記分泌蛋白質の生物活性を調べ、scFvの抗原への結合、サイトカインは受容体への結合/生物活性を認めた。 4)生物機能解析については既に生物活性を確認したTNFαにならって解析する。scFVにについては抗原結合効率をELISAやFACSや細胞の免疫染色などで検討する。:scFv産生系を構築し活性が認められたためavidity増強は更に活性を増強させるために検討中である。 5)ビフィズス菌の相同組み換えの技術的基盤を整備する。:先発報告に基づいてビフィズス菌での相同組換えを追試し、技術基盤を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗免疫チェックポイント抗体に対応する単鎖抗体と抗腫瘍性サイトカインを発現させ、分泌できるビフィズス菌を樹立することができ、その産物の基本的毛生物活性も確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ビフィズス菌に発現分泌させたscFvやサイトカインの抗腫瘍性を調べ、この効率を高める工夫を行う。 1)種々のマウスおよびヒト腫瘍細胞をマウス、あるいは免疫不全マウスに移植し、抗腫瘍性サイトカインや抗腫 瘍抗体を産生するB菌を静脈内投与した時に、腫瘍組織に特異的に局在するか、抗腫瘍性を示すかを検討する。 2)抗腫瘍性を増強するためプラスミド型発現ベクターのin vitro,in vivoでの保持率を調べ、不安定さがあって抗腫瘍性が不十分の場合は、それを改善するため菌内の制限酵素、 一種の免疫仕組みと言われるCRISPR/Casなどの系をノックアウトするため、相同組換え技術の確立する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試薬やプラスチック製品など消耗品を節約して用いたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成28年度申請額と合わせて、試薬など消耗品に用いる。
|