研究実績の概要 |
平成27年度はこれまでにビスアセチレンアルコールエナンチオマー2種とメソ体1種,及び11種の誘導体の他、炭素鎖長の異なるビスアセチレンアルコール(C16及びC24)を合成し,構造活性相関を解析した。調製した誘導体についてヒト子宮頸がん(HeLa)に対する増殖疎外活性を検討し、それぞれのIC50値を算出した。その結果、これまでの研究成果と併せ考え、標的探索用プローブを炭素鎖長24、分子両末端に”1-yn-3-ol” を有するビスアセチレンアルコールが最適構造と決定した。しかし、本化合物に購入したアジドビーズ(磁気ビーズ)をクリックケミストリーにより固定化した場合、分子片方のアセチレンがトリアゾールを生成し、標的タンパク質との親和性が消失することが懸念された。そこで、分子中に3個の”1-yn-3-ol”基を有する化合物をMacroModel(Schrodinger Suite社)を用い、構造最適化とコンフォメーション探索を行った。コア構造にトリメシン酸(1,3,5-benzenetricarboxylic acid)を用い、これにδ-valerolactoneから誘導したhept-6-yne-1,5-diolをエステル化したトリスアセチレンアルコールがビスアセチレンアルコール(C24)とほぼ同一のコンフォメーションを有することを確認した。 現在、hept-6-yne-1,5-diolとトリメシン酸のエステル化を検討している。また、トリメシン酸の代わりにグルタミン酸を用いても、同様のコンフォメーションを有することをMacroModelにより確認しており、アミノ基にNHS-ビーズを固定化することで、標的タンパク質のプローブを調製する。
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