研究課題/領域番号 |
15K08028
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
吉村 祐一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00230813)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヌクレオシド / グリコシル化反応 / アルドール反応 |
研究実績の概要 |
4'-チオコルジセピン合成の鍵段階となるプリン塩基とのグリコシル化反応をモデル実験で検討した。プリン塩基として6-クロロプリンを用い種々のルイス酸を用いて検討を行ったが、TMSOTfを用いトルエン中加熱条件で反応を行った場合、立体選択性は中程度であるものの(cis:trans=1:2.5)化学収率は86%と極めて良好であった。 一方、平成28年度では、4'-置換4'-チオヌクレオシド合成に関するプロジェクトを並行して行った。既に当研究室では、4-チオリボース誘導体の合成法の開発に成功しているが、この鍵段階の一つであるチオピラノースの還元的縮環反応の改良により、4'-置換4'-チオヌクレオシドの糖部となる4-置換4-チオフラノースの合成を目指す。L-アラビノースを出発原料とし、当研究室で開発した方法により、5-チオピラノース誘導体を得た。同誘導体の2位をメシル化後、還元的縮環反応を行うが、従来の還元剤である水素化ホウ素ナトリウムをホルムアルデヒドに変更し、1行程で還元的縮環とヒドロキシメチル基の導入を行うことを検討した。前述の2-O-メシル-チオピラノース誘導体に対して、塩基と37%ホルムアルデヒド水溶液を使用した連続的な縮環-アルドール反応を試みた結果、4位にジヒドロキシメチル基、または、ホルミル基をもつ4-チオフラノース誘導体と考えられる化合物が得られた。そこで、粗生成物を還元剤で処理し、4-ヒドロキシメチル-4-チオフラノース誘導体として得ることができた。本反応の塩基および還元剤を検討した結果、目的の4-チオフラノース誘導体を最高59%の収率で得ることができたが、反応の再現性に問題を残した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4'-チオコルジセピン合成については、プリン塩基のグリコシル化反応条件の最適化が予想以上に困難なものであり、上記のとおり立体選択性にまだ改良の余地が残っている。このため、光学活性体の合成について未だ検討を行えないでいる。平成28年度開始の4'-置換4'-チオヌクレオシドの合成に関しては、鍵段階である連続的縮環-アルドール反応が新しいタイプの反応であり、やはり反応条件の最適化に時間を要することになっている。
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今後の研究の推進方策 |
4'-チオコルジセピンについては、現段階での最適化条件でグリコシル化を行い、ラセミ体での合成を目指す。これと並行して、更なるグリコシル化反応条件の最適化と光学活性体での合成を検討する。4'-置換4'-チオヌクレオシドについては、還元条件下での連続的縮環-アルドール反応について、反応条件の最適化を検討する。さらに、得られた4-置換4-チオフラノース誘導体を対応するスルホキシドへ変換後、Pummerer型グリコシル化反応による4'-置換4'-チオヌクレオシドの合成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、4'-チオコルジセピン合成に関するプロジェクトに関して、当初の研究予定よりやや進行が遅れているため、169,141円が未使用となり次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分については、現在継続中である4'-チオコルジセピンの合成研究に使用する試薬代及び消耗品代として使用する予定である。
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