研究課題
新規ヌクレオシドとして4’位に置換基を導入した4'-チオヌクレオシド誘導体の設計と合成に取り組んだ。前年度に、鍵段階となる、5-チオ-L-アラビノシド誘導体の縮環反応とaldol反応をワンポットで行う新たな反応を開発し、1,4-アンヒドロ-4-チオ-D-リビトール誘導体の合成に成功した。しかし、反応収率の再現性に問題があったことから、この問題解決を試みた。はじめに、炭酸カリウムの当量を検討した。1当量用いたところ、目的とするジオール体はわずか3%しか得られず、縮環のみが進行したモノアルコール体が収率60%で得られた。2当量以上用いるとモノアルコール体はまったく得られず、3当量用いることで、目的とするジオール体を収率62%で得ることができた。一方、塩化メシルを1.5当量に変更したところ収率は向上し、反応時間の延長で収率は75%まで向上した。また、グラムスケールにおいても再現性良く生成物を得ることが出来た。続いて、得られたジオール体を用いてチオ糖部を合成した。二つのOH基をジ(tert-ブチル)シリレン基を用いて保護した後、酸化によりPummerer型チオグリコシル化反応の基質となるスルホキシドを得た。さらに無水酢酸中Pummerer転位を行い、Vorbruggen法によるグリコシル化反応の基質を合成した。始めにVorbruggen法によるグリコシル化を行ったところ、目的とする生成物は全く得られなかった。そこでスルホキシドを基質とするPummerer型チオグリコシル化を行ったところ、目的とする4'-チオヌクレオシドを70%の収率(β : α = 1.8 : 1)で得ることが出来た。
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