研究課題/領域番号 |
15K08036
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
所 美雪 (馬渕美雪) 兵庫医療大学, 薬学部, 研究員 (60714897)
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研究分担者 |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (10207376)
田中 明人 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30454789)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PCA-1 / ALKBH3 / 抗がん剤 / 前立腺癌 / 中皮腫 / Docetaxel / Cisplatin |
研究実績の概要 |
平成27年度には前立腺がん細胞であるDU145を用いてin vitroにてHUHS015とシナジー効果を示す前立腺がん適応の抗がん剤としてドセタキセルとシスプラチンを見出した。 平成28年度は、他の癌腫への適応の可能性として、有効な医薬品が不足している中皮腫の細胞MESO-4を用いて中皮腫適応薬についてHUHS015と相乗的に細胞増殖抑制効果を示すか検討を行った。入手可能であった医薬品は、シスプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ビノレルビン、ゲムシタビン、ペメトレキセドであった。まず、それぞれの化合物及びHUHS015を3日間処置し、増殖抑制作用に対する単剤での効果を検討し、IC50値を求めた。HUHS015のIC50値は0.92uMであった。次にそれぞれの化合物のIC50値付近の用量を3~4用量くらいと、HUHS015の0.4-2uMとの併用効果を検討した、具体的には、3日間化合物を処置した後、臨床での使い方を想定して、通常培地に交換し、引き続き9日間細胞の様子を観察した。これらを評価した結果、シスプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ビノレルビン、ゲムシタビンについて相乗効果が認められた。 平成28年度はさらに、DU145、MESO-4細胞を用いたXenograftモデル作成の検討実験を実施した。DU145細胞についてはヌードマウスへの細胞の生着、成長が認められたので、平成29年度には既存薬であるDocetaxelを用いたモデル構築のための予備検討を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HUHS015とシナジー効果を示す医薬品を探索する目的で網羅的に臨床で使用される医薬品を入手し、in vitroにおいて前立腺癌細胞DU145と中皮腫細胞Meso-4を用い、併用効果を確認した。その結果、いくつかのホルモン非依存性前立腺癌において臨床使用される医薬品、例えばdocetaxelなど、に両化合物が単独では有効性を示さない用量に関わらず、併用により明らかな薬効発現を見出すことに成功した。 今後、ここで見出すことに成功した併用効果をin vivoにおいても確認する計画であるが、平成28年度はDU145細胞とMESO-4細胞を用いたXenograftモデルの構築を行った。その結果、Meso-4細胞を植えたnude miceでは同細胞の皮下での増殖が見られなかったが、DU145についてはがん細胞の生着が認められモデルの構築を行うことができた。DU145細胞の系では、すでにDocetaxelを用いた予備検討を実施しており、今後化合物投与による併用効果を検討できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出されたin vitroにおけるHUHS015と臨床薬との併用効果をin vivoのモデルであるXenograftモデルを用い確認・実証する計画である。そのために、xenograftモデル構築済のDU145を用いた系における、既存薬(例えばdocetaxel)とHUHS015との併用効果を検討する予定である。その際、docetaxelが単独では有効性を示さない閾値を実際に確認し、その用量へのHUHS015あるいは後継化合物の併用による効果の増強等を観測し、新規なメカニズムであるPCA-1阻害薬の臨床応用の指標を検討する計画である。なお、PCA-1阻害薬としては、経口投与可能な薬剤が求められるため、これまでのs.c.投与中心から、経口投与も検討を行う計画である。そのため、別途PCA-1阻害薬探索研究においてラットを用いた経口吸収性のスクリーニングも追加する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後、Xenograftモデルや経口吸収性を検討するための動物代や試薬など高価なものを購入するため、それらの必要経費を次年度使用としたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
in vivo評価を含めた薬効評価を行う。 PCA-1阻害薬の細胞での脱メチル化酵素阻害作用について、DNA/RNAのメチル化抗体を用いた検討も可能であれば実施する。そのため、それらの研究に必要な費用に充当する予定である。
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