研究実績の概要 |
これまでにPCA-1阻害薬であるHUHS015とin vitroにてシナジー効果を示す医薬品として、前立腺がん由来DU145細胞の増殖抑制作用ではDocetaxel及びCisplatinを、中皮腫由来細胞ではシスプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ビノレルビン、ゲムシタビンを見出した。さらにin vivoでの併用効果を検討するため、これらの細胞をnude miceの横腹皮下に移植してxenograft modelの作成を試みたところ、MESO-4では生着が認められなかったが、DU145細胞では作成できた。DU145 xenograftモデルを用いてHUHS015について薬効評価したところ32mg/kg、1日1回皮下投与により抗腫瘍効果を示すことを確認した。またホルモン非依存性前立腺癌の第一選択薬であるDocetaxel単独による1, 2.5, 5及び10mg/kgを週1回皮下投与により薬効評価したところ、臨床用量と同程度とみなされる、2.5mg/kg投与では副作用である浮腫がみられ、腫瘍内への水分貯留のため腫瘍体積低下作用はみられない、薬の作用が現れ始める最低限の用量であることを示した。これらの用量にHUHS015の32mg/kgによる併用効果を検討したところ、Docetaxelの1、2.5mg/kgとの併用においてDocetaxel単独投与に比較して腫瘍体積低下作用が認められ、2.5 mg/kg投与群ではその単独投与に比較して有意差が認められた。さらにHUHS015よりもPCA-1阻害作用及びin vitro細胞増殖抑制作用の強力な化合物をDU145 xenograftモデルにて評価したところ、経口投与によってもDocetaxelとの併用効果が認められた。これらの結果より、PCA-1阻害薬が前立腺がんへのDocetaxelとの併用薬として有効である可能性が示された。
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