研究課題
本研究では、炎症性疾患の予防・治療における”プロバイオティクス”摂取の臨床的意義を明確にすることを目的に、研究を遂行している。プロバイオティクスとしては、代表的な腸内細菌であるLactobacillus属の菌種(L.casei)と、その整腸作用により”特定保健用食品”として市販されているBifidobacterium属の菌種(Bif)を用いて検討を行い、これまでに以下の様な結果を得た。1、炎症性腸疾患に対するプロバイオティクスの影響:ヒト消化管のモデルとして3週間培養したCaco-2細胞を用いて検討を行い、炎症性サイトカインを抑制し、抗炎症性サイトカインを増加させる菌種を見出した。さらにプロバイオティクスの摂取は、腸管炎症の抑制および薬物療法由来の副作用の軽減に役立つ可能性があることを見出した。2.関節リウマチに対するプロバイオティクスの影響:滑膜細胞として、慢性関節リウマチ患者由来滑膜細胞(HFLS-RA)を用いた検討により、プロバイオティクスが、炎症性シグナル伝達経路の抑制を介して、抗炎症作用および関節破壊抑制作用を有する可能性が示唆された。また、プロバイオティクスは、抗リウマチ治療薬であるMethotrexateの体内動態を変化させる可能性が示唆された。従って、プロバイオティクスとMethotrexateとの併用により、抗リウマチ効果の増大および薬物治療による副作用の軽減につながる可能性が期待された。今後、更に詳細な検討を行う必要がある。
4: 遅れている
平成30年度7月の研究代表者の大学異動により、同年6月より研究を一時中断する必要が生じた。同年9月末に科研費管、新施設での研究環境整備に着手し、平成31年度より研究を再開したが、約10ヶ月の遅れを生じる結果となった。それに伴い、分担研究者の業務も延長する必要が生じた。
本年度までに終了しなかった炎症性疾患治療薬の体内動態に対するプロバイオティクスの影響評価と、炎症性疾患治療薬におけるプロバイオティクス摂取の医療経済学的評価を行う。
平成30年度7月の研究代表者の大学異動により、同年6月より研究を一時中断する必要が生じた。同年9月末に科研費移管、新施設での研究環境整備に着手し、平成31年度より研究を再開したが、それに伴い、分担研究者の業務も延長する必要が生じた。従って本年度の研究代表者および分担者の支出は、サンプル保存や論文投稿準備費のみとなった。次年度は、本年度実施予定であった評価項目に必要なもの(炎症性疾患治療薬の体内動態評価に必要な試薬・機器および医療経済学的評価に必要な解析ソフトや文献資料)を購入する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件)
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