研究課題
本研究では、炎症性疾患の予防・治療における“プロバイオティクス”摂取の臨床的意義を明確にする事を目的に、①炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease;以下IBD)における薬物動態制御、②慢性関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis;以下RA)治療の効率化の観点から、包括的な評価を行った。Caco-2細胞を用いた炎症性腸疾患モデルにおいて、腸管炎症の抑制および薬物療法の副作用軽減作用を示すプロバイオティクス菌種を見出した。炎症および薬物由来の細胞障害の抑制効果の程度は菌種により異なっていた。薬物動態関連遺伝子発現量に対する影響も菌種により異なった。プロバイオティクスとの併用により、IBDに対する薬物療法の効率化が期待できると考えた。RAのモデルとして、慢性関節リウマチ患者由来滑膜細胞およびコラーゲン誘発RAラットを用いた実験を行い、炎症シグナル伝達経路の抑制を介して、抗RA作用を示す菌種を見出した。また、抗RA治療薬であるメトトレキセートとの併用により、抗RA効果の増大が認められた。その一要因として、プロバイオティクスがメトトレキセートの体内動態を変化させる可能性が示唆された。本研究成果により、炎症性疾患の予防・治療における”プロバイオティクス”#摂取の臨床的有用性を示す事が出来た。”プロバイオティクス”摂取は、炎症性疾患治療薬の適正使用、治療の効率化に寄与できると考える。
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