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2017 年度 実績報告書

バイオオルガノメタリクス戦略に基づく血管内皮細胞パールカン合成の分子機構解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08047
研究機関東邦大学

研究代表者

山本 千夏  東邦大学, 薬学部, 教授 (70230571)

研究分担者 鍜冶 利幸  東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (90204388)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードバイオオルガノメタリクス / 血管内皮細胞 / プロテオグリカン
研究実績の概要

我々はこれまでに,バイオオルガノメタリクス研究に取り組む中で,抗酸化作用と線溶活性を示す銅錯体(Cu10)を見出している。そこでこのCu10が血管内皮細胞のプロテオグリカン合成に影響を与える可能性について検討した。
血管内皮細胞に発言しているプロテオグリカン分子種のうちCu10は細胞膜貫通型のへパラン硫酸プロテオグリカン分子種のシンデカン-4の発現を濃度依存的かつ時間依存的に誘導することを明らかにした。その他の分子種の発現についてはビグリカンとシンデカン-2に増加傾向が観察されたが,シンデカン-4の発現上昇に比べるとその程度はわずかであった。一方,シンデカン-1の発現については逆に減少傾向が認められた。この活性は,Cu10の構造を維持していることが重要であり,無機金属である硫酸銅(CuSO4)や配位子であるジエチルジチオカルバメート(EDTC)ではシンデカン-4の発現誘導活性は認められなかった。さらに,Cu10の配位する金属を銅から亜鉛,ニッケル,鉄に置換してもCu10のようなシンデカン-4誘導活性は認められなかった。また,配位子をEDTC以外の構造にした銅錯体では活性は認められなかった。従って,この血管内皮細胞におけるシンデカン-4誘導は Cu10に特異的な活性であることが示された。
このメカニズムについて検討を行ったところ,シンデカン-4の誘導はp38MAPKの活性化に依存したが,Smad2/3,Nrf2,およびEGFRの活性化には依存しなかった。この研究で得られたデータは,p38 MAPKが血管内皮細胞におけるCu10によるsyndecan-4の発現を誘導する重要な分子であることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Synergistic cytotoxicity caused by forming a complex of copper and 2,9-dimethyl-1,10-phenanthroline in cultured vascular endothelial cells2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Yoshida E, Fujie T, Ogata F, Yamamoto C, Kawasaki N, Kaji T
    • 雑誌名

      The Journal of Toxicological Sciences

      巻: 42 ページ: 683-687

    • DOI

      10.2131/jts.42.683

    • 査読あり
  • [学会発表] 亜鉛錯体による血管内皮細胞特異的なグリコサミノグリカン合成の調節2018

    • 著者名/発表者名
      原崇人,酒巻沙弥香,中村武浩,鍜冶利幸,山本千夏
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] 銅錯体を用いた血管内皮細胞のプロテオグリカン発現調節機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      立石紘子,原崇人,吉田映子,藤江智也,山本千夏,中寛史,鍜冶利幸
    • 学会等名
      第44回日本毒性学会学術年会
  • [学会発表] 亜鉛錯体を用いた内皮細胞シンデカン-4の新規発現調節機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      原崇人,中村武浩,松崎紘佳,吉田映子,山本千夏,鍜冶利幸
    • 学会等名
      第44回日本毒性学会学術年会
  • [学会発表] ジチオカルバメート銅錯体Cu10による血管内皮細胞のシンデカン-4発現誘導2017

    • 著者名/発表者名
      立石紘子,原崇人,藤江智也,吉田映子,山本千夏,中寛史,鍜冶利幸
    • 学会等名
      フォーラム2017:衛生薬学・環境トキシコロジー
  • [学会発表] 鉛による血管内皮細胞増殖の阻害に関与するヘパラン硫酸プロテオグリカンの大型分子種パールカンの発現抑制機構2017

    • 著者名/発表者名
      熊谷玲衣奈,原崇人,吉田映子,藤原泰之,山本千夏,鍜冶利幸
    • 学会等名
      フォーラム2017:衛生薬学・環境トキシコロジー

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公開日: 2018-12-17  

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