研究課題
本研究の目的は、Mycobacterium avium感染症の病態および増加要因、さらに宿主特異性や感染様式の解明を行うことである。最終年度は、本感染症の感染様式の違いを解明するため、肺M. avium症患者由来株(経気道感染株)と全身播種型M. avium症患者由来株(経腸感染株)を用いて、ゲノムの比較・検討を行った。両ゲノムを用いてSNPs(single nucleotide polymorphisms)解析を行った結果、両者は異なるクラスターを形成し遺伝学的に違いがあることが判った。そこで、ゲノムの比較を行った結果、両ゲノムに特異的な遺伝子領域が存在し、その領域には病原性に関連している遺伝子が存在していた。このような遺伝学的な違いが、M. avium症の感染様式に関与している可能性が強く示唆された。これまで、M. avium症の病態および宿主特異性について解明を行ってきた。その結果、以下に示す研究成果が得られた。肺M. avium症の病態については、肺M. avium症患者由来株を悪化群由来株と安定群由来株に分けゲノム解析を行った。その結果、悪化群由来株に特異的な遺伝子領域が存在し、その領域には病原性に関わる種々の遺伝子がコードされていた。以上の結果から、これらの病原因子が肺M. avium症の悪化に関与している可能性が強く示唆され、病態の解明に大きく寄与することができた。M. aviumの宿主特異性については、肺M. avium症患者由来株とブタ由来株を用いてゲノムの比較を行った結果、両者のゲノム上に特異的な遺伝子領域が見られ、病原性に関わる種々の遺伝子が存在していた。以上の結果から、これらの病原遺伝子がM. aviumの宿主特異性に関与している可能性が示唆された。
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