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2017 年度 実績報告書

サルモネラのVBNC状態への移行と増殖可能状態への復帰及び病原性発現機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08051
研究機関大阪薬科大学

研究代表者

天野 富美夫  大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (90142132)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードVBNC状態 / サルモネラ / 乾燥耐性 / 抗体産生 / ストレス応答 / ピルビン酸 / オキサロ酢酸 / 再活性化
研究実績の概要

これまでの研究で、ストレス付加した1個の菌を抗体によってVBNCであると示すことはできなかった。そこで本年度は、過酸化水素の曝露によって病原性のサルモネラをVBNC状態にし、そこから増殖可能な状態への復帰することを指標に研究した。我々はピルビン酸(PA)添加が復帰率を大きく上昇させることを見出していたので、本年度は、VBNC菌に対するPAの作用機構の解明とともにVBNC菌のマーカーとなる性質を見出すことを目的にした。
実験は、病原性の環境分離株SECl#15-1をLB培地中で一晩前培養後、新鮮なLB培地中に加えて対数増殖期まで培養した。PBSで洗浄後、LB培地 に接種し、3 mM 過酸化水素を添加して37℃、60分間、酸化ストレスを与えVBNC状態の菌を調製した。氷冷PBSで洗浄後、菌をM9最少培地中に懸濁し、0.3 mM PAを添加して37℃で3時間、静置培養した。最後に菌液をPBSで適宜希釈し、LB寒天培地上に塗布して一晩培養しコロニー数(CFU)を計測して生菌数を求めた。その結果、CFUはM9培地単独ではほとんど上昇しなかったが、0.3 mM PAの添加によって数十倍から百倍、上昇した。一方、TCA回路で代謝される基質のうち、オキサロ酢酸は0.3 mM でPAと同等以上のCFUの上昇を示した。これに対し、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸はCFUを上昇させたがその効果は弱かった。これらの結果は、PAからオキサロ酢酸への代謝変化が重要であること、およびTCA回路の基質のうちオキサロ酢酸に特有の代謝がVBNCサルモネラの増殖性の復帰に関与している可能性を示唆すると思われる。以上の結果は、VBNCの定義に「再活性化して増殖性を復帰できる」ことを加えることの妥当性を示唆する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 1.Morishige Y, Koike A, Tamura-Ueyama A, and Amano F. Induction of viable but nonculturable Salmonella in exponentially grown cells by exposure to a low-humidity environment and their resuscitation by catalase.2017

    • 著者名/発表者名
      Morishige Y, Koike A, Tamura-Ueyama A, and Amano F.
    • 雑誌名

      J. Food Prot

      巻: 80 ページ: 288-294

    • DOI

      10.4315/0362-028X.JFP-16-183

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 患者喀痰および環境から分離したMycobacterium avium complexの抗結核薬感受性2017

    • 著者名/発表者名
      森重雄太、山崎利雄、天野富美夫
    • 雑誌名

      結核

      巻: 92 ページ: 441-445

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 薬学領域におけるバイオフィルム2017

    • 著者名/発表者名
      天野富美夫
    • 雑誌名

      臨床と微生物

      巻: 45 ページ: 19-2

  • [学会発表] SalmonellaのVBNC(Viable But Non-Culyurable) 状態からの復帰に対するピルビン酸の促進機構2018

    • 著者名/発表者名
      天野富美夫、荒木美和、森重雄太、小池敦
    • 学会等名
      第91回日本細菌学会総会
  • [学会発表] サルモネラ感染マクロファージおける細胞死誘導機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      小池敦資、小濱清子、天野富美夫
    • 学会等名
      フォーラム2017衛生薬学・環境トキシコロジー
  • [図書] 感染症とその予防対策「衛生薬学 健康と環境」(永沼章、姫野誠一郎、平塚明、編)2018

    • 著者名/発表者名
      天野富美夫
    • 総ページ数
      3 (pp. 59-61)
    • 出版者
      丸善出版
  • [図書] 食品に由来する疾病の各論「衛生薬学 健康と環境」(永沼章、姫野誠一郎、平塚明、編)2018

    • 著者名/発表者名
      天野富美夫
    • 総ページ数
      15 (pp. 239-253)
    • 出版者
      丸善出版
  • [図書] サルモネラが形成するバイオフィルムの構造「バイオフィルム制御に向けた構造と形成過程」(松村吉信、編)2017

    • 著者名/発表者名
      天野富美夫
    • 総ページ数
      10 (pp.26-35 )
    • 出版者
      シーエムシー出版

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公開日: 2018-12-17  

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