ピロリ菌はチアミンのde novo生合成酵素群の遺伝子が欠失しているため、生育するために外界からチアミンを取り込む必要がある。今回、ピロリ菌SS1株のチアミン取り込み機構について検討した。その結果、ピロリ菌のチアミン輸送系はチアミンのピリミジン部を認識し、促進拡散によりチアミンを取り込むことが示唆された。また、ピロリ菌には複数のチアミン輸送系が存在し、PnuTは高親和性チアミン輸送タンパク質であることが明らかとなった。さらに、ピロリ菌pnuT欠損株は野生株に比べて100倍濃度のチアミンを要求することから、PnuTを阻害する化合物は抗ピロリ菌剤として有望と思われた。
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