研究課題/領域番号 |
15K08060
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
宮口 一 科学警察研究所, 附属鑑定所, 鑑定官 (10370884)
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研究分担者 |
太田 彦人 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40392261)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析 / セリ / ドクゼリ / 生物種判別 / モノアイソトピック質量 |
研究実績の概要 |
本研究では、液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析(LC/HRMS)によって、100 bp程度の比較的短いDNA増幅産物(アンプリコン)の塩基組成を迅速に明らかにする方法を開発し、有毒生物の種判別に応用することを目指している。 本年度は、前年度から研究に着手した可食植物のセリと有毒植物のドクゼリとの識別法の開発法について、米国インディアナポリスにおいて6月に開催されたアメリカ質量分析学会でポスター発表を行った。また、ドクゼリのサンプル数を増やすため、研究分担者と共に東北地方においてドクゼリの採取を試みたが、外観からドクゼリと判断して採取した植物が、実は別種のオオバセンキュウであることが、採取後に実施したrbcLマーカーの解析によって判明した。ただし、そのオオバセンキュウについても、本法でセリやドクゼリと異なる塩基組成のアンプリコンを与えるため、LC/HRMSによってセリやドクゼリとの識別が可能であった。従って、ゲル電気泳動法などと比較したときの本法の識別能力の高さが再確認された。 さらに、モノアイソトピック質量と許容誤差から、該当する塩基組成を求めるプログラムの開発に着手したが、いわゆる整数計画問題に該当するためにプログラムの作成が容易ではないことが判明した。そこで、塩基組成とモノアイソトピック質量の関係を予めデータベース化し、それを検索することで計算を回避する方針に変更し、その開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のとおりドクゼリの採取に失敗したうえ、モノアイソトピック質量と許容誤差から該当する塩基組成を求めるプログラムが未完成であるため。
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今後の研究の推進方策 |
適切な時期にドクゼリの採取を再度実施し、分析サンプル数を増やす。また、モノアイソトピック質量と許容誤差から該当する塩基組成を求めるためのMicrosoft Accessによるデータベースを完成させ、これらの結果をまとめて論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度は概ね当所計画通り執行したものの、平成28年度の未使用額が大きかったため。 (使用計画) 国内で追加のサンプル採取を行うほか、塩基組成を求めるデータベースの開発に用いるソフトウェアなどの整備に充当する。
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