研究課題/領域番号 |
15K08063
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研究機関 | 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
廣岡 孝志 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 未病改善食品評価法開発プロジェクト, 研究員 (50397519)
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研究分担者 |
大森 清美 神奈川県衛生研究所, 理化学部, 主任研究員 (20416069)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発がん性予測試験 / 細胞形質転換試験 / Bhas42細胞 / 肝代謝 / ヒト肝細胞株 / 発がんプロモーター / 発がんイニシエーター / CYP酵素 |
研究実績の概要 |
H28年度前半は,昨年度に構築したCYP強制発現HepG2とBhas42細胞とのトランスウエル共培養系について,HepG2導入によるBhas42細胞の細胞増殖抑制効果の軽減および試験系として評価を行った。しかし,CYP強制発現HepG2の薬物代謝機能が非常に低いことから現段階では試験系への適用はできないと判断した。そこでH28年度後半は,CYP強制発現HepG2よりも高い薬物代謝機能を有するヒト肝細胞株AとBhas42細胞との共培養系の構築を検討した。培養条件を検討した結果,ヒト肝細胞株Aの薬物代謝機能(CYP活性)をBhas42細胞試験培地中で長期間維持できた。 一方,Bhas42細胞自身が有する薬物代謝機能についても検討を行った。発がん物質であり,CYP1Aの発現誘導物質である3-メチルコラントレンにより処理したBhas42細胞についてCYP酵素タンパクの発現をウエスタンブロッテイング分析により検討した結果,CYP1A1およびCYP1A2タンパクが発現誘導されることを明らかにした。また,誘導物質の有無にかかわらずCYP2B6タンパクが発現していることも確認した。 以上の検討から,肝代謝系を導入したBhas42細胞形質転換試験法の構築に向けて,Bhas42細胞培養系に導入可能なヒト肝細胞株とその肝代謝機能を試験培地中で維持できる培養方法を見出した。さらに,試験系構築に向けて基礎となるBhas42細胞のCYP酵素に関する情報も得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,H28年度は前年度で確立したヒト肝細胞株とBhas42細胞との共培養技術を用いて,ヒトiPS肝細胞とBhas42細胞との共培養系の構築を行う予定であった。しかし,iPS細胞から肝細胞への分化誘導,および分化させたiPS肝細胞の機能維持には煩雑な工程が必要であること,また,iPS肝細胞の性能や供給が安定していないことなどから,別の肝代謝機能が高いヒト肝細胞株Aを用いることにした。検討の結果,ヒト肝細胞株Aについても,Bhas42細胞との共培養系の構築が可能であった。したがって,iPS細胞の替わりに別のヒト肝細胞株を用いることにした以外は,おおむね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,当該年度に構築した培養ヒト肝細胞株AとBhas42細胞との共培養系について,ヒト肝細胞株のCYP酵素発現や薬物排出機能などの薬物代謝機能を試験培地中で維持するための培養条件の最適化を行う。また,発がん性の発現に肝代謝が関与していると疑われる化学物質を用いて,構築したヒト肝細胞株導入Bhas42細胞形質転換試験法の実用性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張にかかる費用が為替相場(レート)の関係により当初想定していた額と変わったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に速やかに使用する
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