抗凝固活性を消失させたヘパリンに、脂肪族アミンを結合させた誘導体を合成すると、自己組織化ナノミセル集合体を形成するだけでなく、リポポリサッカライド(LPS)刺激による炎症性サイトカインの産生を顕著に抑制する。本研究では、この抗炎症作用が他のグリコサミノグリカンでも同様に認められ、硫酸化度の高いものがより顕著であることを見出した。さらに、LPS刺激した後の各種遺伝子の発現変動の時系列データを数理モデルに基づいて解析し、転写因子活性に対する影響を定量的に評価したところ、ヘパリンナノ粒子はLPSによって活性化するTAK1-IKK-NFkappaB経路を選択的に阻害することが示唆された。
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