研究課題
局所作用型ドラッグデリバリーシステム(DDS)の分野では、標的組織における非結合形薬物濃度を長時間高濃度に保ち、かつ非目的部位への薬物送達の指標となる血漿中薬物濃度を低減させ、これらを高度に保証する製剤の開発が望まれており,局所に限局した薬効発現を時間経過の中で高度に保証することが臨床応用への重大な課題となる。微小透析法(MD法)による直接モニタリングでは、MDプローブのoutlet tubingへの薬物吸着に由来するモニタプロファイルの「時間遅れ」の科学的補正が課題となっている。この「時間遅れ」を数理的に適切に補正する手法として、まず、アウトレットチューブへの吸着動態の数理モデル化を試み、血漿タンパク結合がモニタプロファイルの「時間遅れ」に及ぼす影響を解析の解析を行い、吸着動態補正パラメータの取得に成功した。得られた吸着動態モデルにより実測モニタプロファイルを逐次計算法によりデコンボリューションする「吸着動態補正MD法」を考案した。局所に送達された薬物の局所動態に及ぼす局所冷却の効果をMD法による直接モニタリングで評価し、冷却パッドを用いた局所冷却により局所送達された薬物の局所利用能が大きく改善されることを明らかにした。局所適用型製剤の設計の新しいストラテジーとして、種々の方法で難水溶性のモデル薬物の製剤組成物の調製を試み、非晶質性の複合体(固体分散体を含む)の調製とそれらの物理化学的手法(X線回折、示差走査熱量分析)による製剤学的特性を評価し、得られた組成物の保存安定性に関する知見を得た。さらに、薬物の経皮適用における被覆化剤(ドレッシング材)としての含水ゲルシートの調製および得られた含水ゲルシートの製剤学(機械)的特性の力学的評価を行った。
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