研究課題
本研究は、『HSA による生理活性ガスの内因的な輸送システムの全容解明』と『それら輸送システムを生かした酸化ストレス疾患治療法の開発』を二大柱とし、遊離型システイン34Cys へのNO による修飾(Cys-SNO)から、H2S による修飾(Cys-SSH)の生成メカニズムの解明、34Cys-SSH の定量法の開発ならびに酸化ストレス病態との関連性をin vitro や生体サンプルを用いた解析を行ってきた。その結果、Cys-SSHの修飾には、一部Cys-SNOから生成することが示唆されたことから、NOとH2Sの間に、生理活性ガス分子間のクロストークが存在することが推察された。また、Cys-SSHを測定する中で、新規に開発した測定方法であるElimination Method for Sulfide from Polysulfide(EMSP)により、HSAには多量にCys-SSS-Cysが存在することを明らかにすることができた。本発見は、血清中イオウのリザーバーとしてHSAが機能しているという新しい知見である。興味深いことに、ヒトにおいて、このCys-SSS-Cysは酸化ストレスに鋭敏に反応し、病態初期から変動することも明らかにすることができた。その一方で、34Cys-SSH 化HSA やPoly-SSH 化HSA の作製を行い、生物活性の解析や酸化ストレス疾患への治療薬としての応用を病態モデルにて検討した。まず取り組んだこととして、34Cys-SSH 化HSAの美白作用に関して、メラノーマ細胞を用いてその美白効果を実証した。具体的には、UV由来の活性酸素種や一酸化窒素の産生に対して、34Cys-SSH 化HSAは強力に抑制すること、加えて、メラニンの生成に寄与しているチロシナーゼの活性を抑制することが明らかになった。本知見は、すでに論文化並びに特許として公表するに至っている。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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