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2017 年度 実績報告書

免疫抑制薬のヒト末梢Tリンパ球増殖抑制作用に及ぼすインスリンの影響

研究課題

研究課題/領域番号 15K08081
研究機関東京薬科大学

研究代表者

平野 俊彦  東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードインスリン / 腎移植 / 副腎皮質ステロイド薬 / 末梢血単核細胞 / 薬物耐性 / 単球 / インスリン受容体
研究実績の概要

腎移植における維持免疫抑制療法や自己免疫疾患の治療に、副腎皮質ステロイド薬(GC)が広く用いられているが、これらの患者の中にはGC療法に抵抗性を示す症例も散見される。申請者はこれまで、科学研究費助成の元、患者末梢血単核細胞(PBMC)のGC感受性が同薬の治療効果と相関することを明らかとし、学術誌等に発表してきた。一方、PBMCのGC耐性発現の分子機序には不明な点が多かった。
腎移植患者の多くは、糖尿病性腎症により慢性腎不全となりその後腎移植を施行されている。また慢性腎不全患者のPBMCは、GC耐性を示す傾向にある。末期糖尿病の治療にはインスリンが用いられることから、申請者は患者PBMCのGC感受性にインスリンが影響を及ぼしているものと考え、本研究を実施した。
健常者および慢性腎不全患者のPBMCのT細胞マイトゲン応答性増殖に対し、プレドニゾロンは抑制効果を示すが、インスリンは治療に使われる濃度でプレドニゾロンのPBMC増殖抑制効果を有意に減弱させた。さらに、インスリンはPBMCのT細胞マイトゲン応答性増殖に対するシクロスポリン、タクロリムス、およびミコフェノール酸の増殖抑制効果も減弱させた。インスリン受容体拮抗薬がこれらインスリンの作用を軽減させたことから、インスリンの作用は受容体を介して発現することを示唆した。PBMC中の各種細胞のインスリン受容体の有無を調べたところ、単球に多く発現していることが分かった。このことから、インスリンは単球に作用し、さらに単球から放出されるサイトカイン量に影響を及ぼすことにより、PBMCのプレドニゾロン感受性を低下させている可能性を示した。
以上本研究は、インスリンがPBMC中の単球に作用し、GCをはじめとする各種免疫抑制薬の効果を減弱させることを示唆した。これらの成果は、免疫抑制薬の個別療法を行う上で、臨床上きわめて重要な知見と考えられる。

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公開日: 2018-12-17  

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