腎移植患者の原疾患の多くは糖尿病性腎症である。末期糖尿病の治療にはインスリンが用いられることから、申請者は患者末梢血単核細胞(PBMC)の免疫抑制薬感受性に及ぼすインスリンの影響を検討した。慢性腎不全患者のPBMCのT細胞マイトゲン応答性増殖に対する免疫抑制薬の阻害効果は、インスリンにより低下した。一方インスリン受容体拮抗薬は本インスリンの作用を軽減させた。インスリン受容体は、PBMC中の単球に多く発現していた。 インスリンが単球に作用し、PBMCの免疫抑制薬感受性を低下させる可能性を示した。これらの知見は、インスリン使用患者に対する免疫抑制薬の個別療法に重要な示唆を与えるものと考えられた。
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