研究課題/領域番号 |
15K08082
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
井上 勝央 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50315892)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トランスポーター / リソソーム / 化学発光 / D-ルシフェリン |
研究実績の概要 |
本年度は、細胞内のリソソーム膜を細胞膜に融合させるための条件の検討および細胞膜を介した薬物輸送の簡便な評価方法の構築を行った。細胞を酸性条件下で長期培養することでリソソームに発現するLAMP1などのマーカータンパク質が細胞膜へ局在することが知られている。そこでヒト乳腺がん由来MCF-7をpH 6.0環境下で3カ月間培養を行い、LAMP1の局在を確認したところ、その一部の細胞膜への局在が認められた。このことから細胞内外のpH環境がリソソームと細胞膜との融合に関与していることが確認できた。今後、この融合現象の最適化条件を検討していく。また、リソソームには多様な化合物を輸送できるトランスポーターを有することが示唆されているため、細胞膜と融合したリソソーム膜は多様な薬物に対する透過性を上昇させることが期待される。そこで、まずは有機アニオン化合物に対する評価系として、非侵襲的かつリアルタイムな輸送評価を行うために、D-ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応による化学発光を利用したD-ルシフェリンの輸送評価系を構築した。すなわち、ルシフェラーゼを安定発現させた細胞に、細胞膜非透過性のD-ルシフェリンを添加し、細胞内へ移行したD-ルシフェリンとの反応で生じる化学発光を検出するものである。このD-ルシフェリンの細胞内取り込みは有機アニオントランスポーター存在下で顕著に増大し、その最大活性を示す細胞外濃度は数μMと高感度な評価が可能となることが示された。以上、本研究において、細胞膜と融合したリソソーム膜に対する有機アニオン化合物の透過性を評価する簡便かつ高感度な輸送評価系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度はリソソーム膜機能を簡便に評価する方法論を確立することを目標とし、その主要な項目は達成できたと考えることができるため、現在までの進捗状況はおおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、これまでに同定した機能未知のリソソームトランスポーター(およびそのGFP体)を酸性条件下で長期培養したMCF-7へ安定発現させ、それらトランスポーターの細胞膜局在について評価する。細胞膜局在が認められたトランスポーターを導入した細胞については、ルシフェラーゼを共発現させ、D-ルシフェリンの細胞内への透過について検討する。この検討により活性が認められたトランスポーターについて、好中球での発現や局在などを明らかとし、総合的にリソソームを介した薬物送達の有用性・妥当性を評価していく。
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