研究課題/領域番号 |
15K08084
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
大和 進 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60057370)
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研究分担者 |
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (30410228)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オキシステロール / 7α-ヒドロキシコレステロール / 27-ヒドロキシコレステロール / 胆汁酸 / アウクビン |
研究実績の概要 |
1. 培養条件によるオキシステロール産生能の相違に関する基礎検討 ヒト肝がん由来HepG2細胞を用いて、培養時間の最適実験条件を胆汁酸前駆物質であるオキシステロール(7α-ヒドロキシコレステロールおよび27-ヒドロキシコレステロール)の産生量の相違から求めた。オキシステロールの定量は、当研究室で開発した「固相抽出によって大量のコレステロールを取り除く前処理を用いたGC-MS定量法」を用いて、培養した細胞内から効率よくオキシステロールを抽出した後、トリメチルシリル誘導体化し高感度定量する分析系として確立した。また、培養条件を検討した結果、培養時間が長いほど、細胞内のオキシステロールの産生が増加したため、細胞がコンフルエントになる72時間培養を採用することとした。 2. 胆汁酸定量法の確立 細胞培養液および細胞内の総胆汁酸濃度(TBA, CAおよびCDCAの総量)を、酵素サイクリング法のTBA測定キットを用いて定量を試みたが、細胞培養液および細胞内の総胆汁酸濃度はTBA測定キットの検出限界以下であった。今後、高感度測定するために、キットの改良あるいはその他の機器(LC-MS/MS)による胆汁酸の定量を試みる予定である。 3. オキシステロール産生促進物質の探索 確立した細胞培養条件を用いて、胆汁酸産生を促進する物質の探索を行った。検討を行った物質としては、アウクビンおよびダイゼイン(ポリフェノール)の2種類を行い、アウクビンは、7α-ヒドロキシコレステロールの産生量が増加し、ダイゼインは、27-ヒドロキシコレステロール量が濃度依存的に減少した。現在、さらに詳細を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胆汁酸測定において、使用予定のTBA測定キットの定量範囲よりも産生された胆汁酸量が少なかったため、細胞内外の胆汁酸定量ができなかった。そのため、胆汁酸産生を促進する物質の評価に関する実験が遅れた。 また、トレーニングに時間を要し、実試料測定を行う実験補助員の勤務時間が、予定より少なかったことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
改善策として、胆汁酸測定のTBA測定キットの酵素量や基質を増やすことで、サイクリング数を増加させるなどの胆汁酸定量法の改良を行い、高感度定量を可能とする。あるいは、LC-MS/MSで胆汁酸を高感度定量する測定法を採用し、細胞内外の胆汁酸定量を行う。 また、測定の実験補助員の勤務時間が少なかったことから、来年度は、生体試料分析の経験があるもう一人を採用し、体制を強化して研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の休暇のため、実験補助の人件費に若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験補助の人件費に充てる予定である。
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