研究課題/領域番号 |
15K08094
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
清島 眞理子 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00171314)
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研究分担者 |
藤澤 智美 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20585583)
加納 宏行 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40566494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 悪性黒色腫 / 抗がん耐性 / BRAF阻害薬 |
研究実績の概要 |
抗がん剤耐性、特にBRAF阻害薬耐性を示す悪性黒色腫細胞株において、S1P受容体のアンタゴニスト(FTY720)とBRAF阻害薬(VM)の併用による細胞の生存およびアポトーシスの変化を検討し、さらにその作用メカニズムを明らかにすることによって、新規治療標的分子探索の基盤となる知見を得ることを目的としている。そこで、まずBRAF変異を有する悪性黒色腫細胞株4種を培養し、培養液にVMを添加し、MTT測定法で細胞生存率、すなわち各々のIC50を測定した。その結果から、VM耐性株WM-115と感受性株SK-Mel-28を以下の実験に用いることとした。また、VM耐性株において、FTY720を加えることにより細胞増殖は抑制され、アポトーシス・マーカーであるcleaved PARPが有意に増加した。したがってFTY720はVM耐性株においてアポトーシスを強く誘導すると考えられる。 抗がん剤耐性については他のがん細胞において細胞内スフィンゴシンキナーゼ(SPHK)の高発現が注目されている。そこで悪性黒色腫細胞株のSPH-1の発現を検討したところ、FTY720により発現が抑制されることが明らかになった。さらにそのメカニズムについて検討を行っている。その中で、細胞増殖に関わるERKのリン酸化が抑制されることを見出した。現在さらに詳細なメカニズムを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BFAF阻害薬耐性悪性黒色腫細胞株と感受性株をMTT測定法により決定し、実験に用いることとした。また、耐性株において、S1P受容体のアンタゴニスト(FTY720)を加えることにより細胞増殖は抑制され、アポトーシスを強く誘導することが明らかになった。現在そのメカニズムを検討中である。研究は全体としておおむね順調に計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではBRAF変異悪性黒色腫およびBRAF阻害薬(VM)耐性悪性黒色腫におけるシグナル伝達経路の解明とその治療薬の創薬を柱としている。VM耐性株およびS1P受容体のアンタゴニスト(FTY720)併用時のシグナル伝達経路をERK以外の分子、たとえばMEK、AKTなどについても検討したい。 また、BRAF感受性悪性黒色腫株SK-Mel-28に高濃度のBRAF阻害薬を長期に作用させることにより耐性株を作成中であり、この細胞株を用いて、FTY720との併用効果、アポトーシス、SPH-1発現、シグナル伝達経路について検討を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入の際に、高品質で、かつなるべく安価な試薬を購入し研究費の節約に努めたため、使用計画よりも使用額を減じることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫ブロット法のための試薬購入に使用する予定である。
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