研究課題/領域番号 |
15K08101
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
伊東 弘樹 大分大学, 医学部, 教授 (50420641)
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研究分担者 |
鈴木 陽介 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737191)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腎移植 / MR-proADM / 慢性腎不全 / 酵素免疫測定法 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
腎移植術を行った末期腎不全患者における腎移植後の血漿中MR-proADM濃度推移と目標血圧を維持するために必要となる降圧薬強度について検討した。 大分大学医学部附属病院腎臓外科・泌尿器科で腎移植を受けた末期腎不全患者56名(目標100名)について、腎移植前および移植後3、7、14、30日後に採血を行い、血漿中MR-proADM濃度を、申請者が開発した酵素免疫測定法により行った。腎移植後の目標血圧を130/80mmHgとして、移植後180日目の降圧薬強度(Treatment intensity score)と各採血日における血漿中MR-proADMとの関連性を検討した。その結果、MR-proADMと腎機能および降圧薬強度には正の相関を認めたため、降圧薬強度MR-proADMが降圧薬強度を規定するバイオマーカーとなることが明らかとなった。さらに、移植後180日<となった安定期腎移植患者47名について、血漿中MR-proADM濃度の変動因子を明らかにするために多変量解析したところ、降圧薬強度、血清アルブミン、クレアチニンクリアランス、併用薬剤が有意な因子として同定された(調整係数:0.46)。この結果より、慢性腎不全などの代謝性疾患においても、血漿中MR-proADMは降圧薬治療の耐性化を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎移植患者を対象とした検討では、目標症例数を100名と設定しているが、すでに56名の患者がエントリー・測定が終了しており、予定どおりであるため。
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今後の研究の推進方策 |
腎移植患者については、結果の信頼性を高めるために、さらに症例を集積する(目標:100名)。 次に、MR-proADMの降圧治療抵抗性の予測マーカーとしての臨床応用を目指し、新たに降圧薬を開始する慢性腎不全患者を対象とした前向きコホート研究を行う。すでに、研究計画について、大分大学医学部倫理委員会にて承認され、本院腎臓内科を受診し、新たに降圧薬を開始する慢性腎不全患者のエントリーを開始している。
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次年度使用額が生じた理由 |
目標例数に到達しなかったため、MR-proADM測定用試薬等の未購入分が残額として生じた。また本年度、発表予定の論文や学会発表が予定よりも少なかった為、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ペプチド、抗MR-proADM抗体、二次抗体の購入、測定用プレート等を購入する。また、平成27年度の結果について、論文へ投稿、学会発表による旅費に使用する予定である。
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