研究課題/領域番号 |
15K08103
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宮本 篤 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50166196)
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研究分担者 |
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10325863)
白石 宗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70725168)
北川 学 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70751270)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺炎球菌 / MIC / 抗菌性物質 |
研究実績の概要 |
本研究では、肺炎球菌感染症に対する効果的な治療の探索を目的として、ムコイド株で認められているin vitro とin vivoでの抗菌薬の効果の乖離についてその要因を検討してきた。今年度は以下の成果が得られた。 1. ムコイド株4株、非ムコイド株4株について、液体培地または寒天培地上でのMICを4種の抗菌薬で比較検討した。その結果、イミペネムにおいてのみムコイド株で液体培地の場合に比べ、寒天培地でのMICが高かった。しかし、この差は臨床的に意味のある差とは考えられなかった。 2. ムコイド株8株、非ムコイド株8株について、6種の抗菌薬のMICとMBEC(最小バイオフィルム撲滅濃度)を測定した。その結果、ムコイド株と非ムコイド株でMICとMBECの管移動に有意な差は認められなかった。 3. ムコイド株と非ムコイド株の増殖曲線から溶菌速度を観察した結果、両者に差は認められなかった。 4. 宿主に対するムコイド株と非ムコイド株の影響を検討するため、気道上皮細胞株に両菌を作用させた時のIL-8産生誘導を比較した。その結果、両者に有意な差は認められなかった。 5.抗菌活性が期待される納豆由来のペプチドの抗菌活性を評価した。本ペプチドは Bacillus 属の一部の菌種と肺炎球菌に特異的な抗菌作用を示した。肺炎球菌に対しては、ムコイド株、非ムコイド株、薬剤耐性株いずれに対しても同等の抗菌活性を示した。 以上の結果から、ムコイド株と非ムコイド株における抗菌薬のin vivoとin vitro における効果の乖離を説明できる現象を見出すことは、現時点でできていない。本研究の過程で納豆由来のペプチドにおいて、ムコイド産生、非産生に拘わらず肺炎球菌に対して特異的な抗菌作用を見出した。今後、本ペプチドの肺炎球菌特異的な作用の機序を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の今年度の計画通り研究を遂行できた
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今後の研究の推進方策 |
本研究の過程で使用した納豆由来のペプチドにおいて、ムコイド産生、非産生に拘わらず肺炎球菌に対して特異的な抗菌作用を見出した。今後、本ペプチドの肺炎球菌特異的な作用の機序を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が発生する発表が今年度は見込みより少なく、その分繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験を効率的に行なえるように主に次年度の消耗品の購入に充てる予定である。
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