研究課題/領域番号 |
15K08108
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
藤井 まき子 日本大学, 薬学部, 教授 (50199296)
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研究分担者 |
田口 博之 日本大学, 薬学部, 准教授 (60236403)
橋崎 要 日本大学, 薬学部, 准教授 (60318459)
渡辺 善照 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (70175131) [辞退]
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (80433845)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経皮 |
研究実績の概要 |
感染の予防にはワクチン投与が重要であるが,原則として注射投与である。近年,経皮ワクチンが注目されているが,抗原は皮膚透過しにくいため,マイクロニードルによる強制的な皮膚内投与が中心で,これは本質的には注射と変わらない。これまでに,脱毛により局所のランゲルハンス細胞が数日間活性化すること,ナノ粒子を経皮適用すると脱毛直後に適用した場合,毛包に蓄積しやすいことを見出している。このような現象を利用し,最適なナノ粒子を設計し,毛包をターゲットとしたワクチン製剤の開発を試みる。 これまで,水系基剤にOVAを溶解し,アジュバントの酸化ナノチタンに吸着させていたが,皮膚の表面自由エネルギーや基剤の表面張力の関係から,水系基剤より表面張力の低い油系基剤の有用性が示唆されたので,油系製剤の開発を試みた。抗原タンパクは親水性であり,油系基剤には均一に配合することは難しい。流動パラフィンとレシチンを用いた逆紐状ミセルにFITC標識デキストリン(分子量4000,FD4)の添加を試みたところ,安定なゲル状製剤が得られた。蛍光標識OVAを用いて皮膚移行性を評価したところ,水溶液に比べ,移行性に改善が見られた(特許出願)。ヘアレスマウスを用いた感作性実験をアジュバントとしてトールライクレセプターに作用するCpGを併用して行った。2週間毎3回適用後のOVA特異的IgG濃度は統計的には有意であるが,わずかな上昇しか認められなかった。OVA配合濃度が低いことが原因の一つと考えられ,今後,処方の改良を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の結果より,油の粘性,表面張力により皮膚への侵入が異なることが明らかとなり,外用剤として使用前例があるものとして,軽質流動パラフィン(LP)やミリスチン酸イソプロピル(IPM)が適していると考えられた。そこで,LP,IPMを用いたレシチン逆紐状ミセルへのOVAの添加を試みた。抗原タンパクは親水性でLPのような油に配合することは難しいが,極性物質として添加する水にOVAを溶解し,添加したところ,IPMでは分離が起こり,安定な製剤は得られなかったが,LPでは種類によるが,安定なゲル状製剤を得ることができた。蛍光標識OVAを配合したゲル状製剤をYucatan micropig皮膚に適用したところ,一部の処方で皮膚にOVAの蛍光が確認され,皮膚移行の可能性が示された。 そこで,ヘアレスマウスを用いたin vivo感作性実験を行った。OVAは十分な感作性がないので,アジュバントの添加が必要であるが,今回はOVAと同様,水相に配合できるCpGを用いることとした。麻酔下,シアノアクリレートを用いて脱毛を行った後,試料を塗布した。コントロールは,脱毛のみを行った。2週毎に3回適用後,血漿中OVA特異的IgG濃度をELISA法にて測定したところ,コントロールに比べて有意ではあるが,わずかな上昇しか見られなかった。この原因として,製剤に添加できる水相量が限られるため,製剤中のOVA濃度が十分高くないこと,また,適用面積を1cm2程度としたので,皮膚移行量が少ないことが考えられる。現在,OVA添加濃度を高めたゲル状製剤の処方設計について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
製剤の処方設計を行うことにより,より高濃度のOVAを配合でき,なおかつ,安定性に優れたゲル状の製剤の開発を行う。レシチン逆紐状ミセルは,極性物質の種類により相状態の安定性が異なるため,水のみでなく,他の極性物質の併用とOVAの添加濃度および安定性の検討を行う。蛍光標識OVAによる皮膚移行性の確認の後,ヘアレスマウスを用いた感作性試験を行う。その際には適用面積を大きくすることも検討する。また,アジュバントのCpGはOVAと同様に水相に配合できるが,その結果,安定に配合できるOVA量が低下するため,他のタイプのアジュバントについても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度はほぼ計画通りに研究が進行した。予算は繰り越しがあるが,これは3月中旬から行う予定の感作性試験が動物飼育状況等の都合により4月初旬になったため,動物などの購入を29年度としたためである。29年度の研究は計画通りに進める予定であるので,29年度の経費は当初の申請通りとした。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに28年度計画の遅れている部分は実施済みであり,29年度の研究は計画通りに進める予定であるので,29年度の経費は当初の申請通りとした。
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