研究課題/領域番号 |
15K08109
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小林 広幸 東海大学, 医学部, 教授 (60195807)
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研究分担者 |
小見山 智義 東海大学, 医学部, 准教授 (60439685)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗腫瘍薬耐性 / ゲノム変化 / 国際情報交換 米国 |
研究実績の概要 |
がん治療では、抗腫瘍薬が効かなくなる耐性という現象が今大きな問題となっている。本研究では、自ら樹立した薬剤耐性細胞と元の感受性細胞(親株細胞)をマイクロアレイや全ゲノムシーケンス等の手法で比較検討し、各々の薬剤耐性細胞のみに発現する因子や変異もしくは発現量に顕著な差がある因子を同定し、各々の因子の薬剤耐性の寄与度を検討するとともに耐性克服の分子標的になりうるかを探索し、将来の臨床応用への基盤とすることを計画している。 その一環として、薬剤耐性細胞株と対応する親株(感受性細胞)について全エクソームシーケンスの解析を実施した。変化が見られた遺伝子については、real-time PCR法にて発現量を確認した。変化が確認された遺伝子の中には細胞膜を構成する脂質への関与が想定される遺伝子がいくつか存在した。 主要な急性白血病細胞治療薬であるイダルビシンは脂溶性が高く細胞内に急速に取り込まれると報告されている。自ら樹立した薬剤耐性細胞と元の感受性細胞(親株細胞)では取り込まれたイダルビシンを細胞外へ排出する機構(P糖蛋白質やMRP蛋白質など)には変化がないことより、耐性機序に関与している可能性のある脂質関連遺伝子は、急速な細胞内取り込みを抑制したり、細胞内の薬物動態に影響を与えていることが想定される。イダルビシンは蛍光を発するので、フローサイトメトリー法を用いて、薬剤耐性細胞と元の感受性細胞(親株細胞)におけるイダルビシンの細胞内動態の違いを検討した。薬剤耐性細胞では、元の感受性細胞(親株細胞)と比較して、イダルビシンの細胞内取り込みが低下していた。特に、初期の取り込みが低下しており、脂溶性の高い薬剤の急速な細胞内取り込みが変化していることが示唆され、今後さらに詳細な検討を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自ら樹立した薬剤耐性細胞と元の感受性細胞(親株細胞)をマイクロアレイや全エクソームシーケンス等の手法で比較検討し、脂溶性の高い抗腫蕩薬の耐性機序に関与する可能性のある脂質関連遺伝子の変化を確認できた。さらに、脂溶性の高いイダルビシンの急速な細胞内取り込みが薬剤耐性細胞で抑制されていることをフローサイトメトリー法で観察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
主要な急性白血病細胞治療薬であるイダルビシンは脂溶性が高く細胞内に急速に取り込まれると報告されている。自ら樹立した薬剤耐性細胞と元の感受性細胞(親株細胞)では取り込まれたイダルビシンを細胞外へ排出する機構(P糖蛋白質やMRP蛋白質など)には変化がないことより、耐性機序に関与している可能性のある脂質関連遺伝子は、急速な細胞内取り込みを抑制したり、細胞内の薬物動態に影響を与えていることが想定される。薬剤耐性細胞では、元の感受性細胞(親株細胞)と比較して、イダルビシンの初期の細胞内取り込みが低下していることが観察されたので、今後、細胞内取り込みの過程を詳細に検討するとともに細胞内の薬物動態の差異を明らかにしていくことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための学会参加で、宿泊不要であったために旅費が当初計画より若干少額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
情報収集および情報発信(成果発表)のために旅費を有効に活用する。
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