治験薬を初めてヒトに投与する(first in human ; FIH)試験において、安全な初回投与量の設定は、臨床試験において最も重要なステップの一つである。初回投与量はヒトに害を及ぼさない低用量であり、かつ臨床効果を探索可能な用量であることが望まれる。多くの場合、その設定には非臨床試験で得られる最大無毒性量(NOAEL)に基づく方法が用いられてきたが、推定最小薬理作用量(MABEL)に基づく方法も提唱されている。しかし、適切な初回投与量の設定に関する方法論は報告されていない。本研究では標的分子結合占有理論を応用し、医薬品開発におけるFIH試験での適切かつ安全な初回用量設定法の開発を試みた。
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