研究課題/領域番号 |
15K08113
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
大倉 一人 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (00242850)
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研究分担者 |
長宗 秀明 徳島大学, 大学院生物資源産業学研究部, 教授 (40189163)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 相互作用 / 感染症 / 細胞膜 |
研究実績の概要 |
1)PTK阻害剤として2-hydroxyarylidene-4-cyclopentene-1,3-dione 系分子を設計合成し、Src-K阻害やミトコンドリア機能への効果を検証した。Src-Kにはリガンドが填まる空間が3箇所存在した。TX-1123とSrc-Kの相互作用解析からTX-1123はATPと同一部位へ取り込まれTyr416と相互作用し、そのエネルギーは-115.8 kcal/molであった。TX-1123のSrc-K抑制効果はIC50=2.2 microMで、ミトコンドリア毒性はAG17の脱共役活性Cmax=0.02 maicroM、ATP合成阻害IC50=0.05 microMに対し、TX-1123ではCmax=2 microM、IC50=5 microMであり、TX-1123はミトコンドリア機能抑制と正常細胞毒性がAG17より低位であった。 2)TX-1123はCOX-1(IC50=1.57x10-5 M)、COX-2(IC50=1.16x10-6 M)を阻害した。そのCOX-1/COX-2阻害比(RC1/C2)は12.5で、セレコキシブのRC1/C2(30.8)と近値を示した。TX-1123のフェノール性水酸基をメトキシ化したTX-1925はCOX-1(IC50=4.77x10-5 M)、COX-2(IC50=1.03x10-5 M)を阻害しRC1/C2は4.63であった。TX-1123の2つのtert-ブチル基をメチル基に置換したTX-1918のCOX-1、COX-2に対するIC50は各々7.35x10-5 M、6.56x10-4 MとCOX-2選択性は低かった(RC1/C2=0.11)。COX-2分子は3カ所のリガンド結合部位を有し、TX-1123はポケットBに結合し4-cyclopentene-1,3-dione部位の2つの酸素原子が各々COX-2 Cys26およびGln447と水素結合を形成した。 3)CDCにおいて糖との相互作用が報告された。S.intermediusが産生しヒト型CD59を受容体とするILYについて単糖との相互作用を検討した。ILYの溶血活性および細胞膜結合性はD-ガラクトースの存在下で抑制され、in silico解析からILYとD-ガラクトースの相互作用はILYの膜作用部位で予測された。D-ガラクトースはILYの細胞膜結合を阻害して溶血活性を抑制し、D-ガラクトース誘導体はS.intermedius感染症の新規治療薬として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関わる実験系(ウェット)は、遺伝子操作や細胞培養、タンパク質の生成・修飾、ツールの設計・合成などこれまでの運用実績が十分にあり、実施過程で不具合が生じにくい。万が一、不具合が生じても即座に対策を講じることができる。また、各種ライブラリーも整備されつつあり、柔軟かつ迅速に体制が構築できている。解析系(ドライ)に関しても、低分子からタンパク質まで幅広く対応できる解析ツール(分子力学法MM、分子動力学法MD、分子軌道法MO、ホモロジー解析、ドッキング解析、キャビティー解析など)が整っており、研究の進捗に応じてきめ細かく調節が可能である。また、共同研究者、研究協力者との定期的な打合せによって、得られたデータを開示して議論することで、問題点や研究の進め方が明確にできた。これらの理由から、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)S.mitis由来Sm-hPAFは従来のCDCが持つ4つのドメイン(d1-d4)に加えてN末端側にエクルトラのドメイン(d0)を有し、細胞溶解と血小板凝集という多機能性を示す。Sm-hPAFの他にもA21-10AやNm-76といったエクストラドメイン保持毒素(Ex-CDC)が存在する。現在これらEX-CDCのd0およびd1-d4の構造機能解析を順次進めている。また、d0とd1の間を連結する部分の構造に関する報告は未だなく、その解析を試行する。 2)Ex-CDCの細胞膜認識と接着にはd4が関与するが、細胞溶解時の分子全体の挙動は不明である。d1-d4の活性に連動した動的構造について詳細な解析を進める。また、d0はフコレクチンと高いアミノ酸配列の相同性を持つため、そのレクチン様活性について精査する。 3)A群レンサ球菌などの細菌に感染した折に、細菌毒素が血中に分泌されることは容易に想像できる。感染症時の解熱鎮痛を目的としたNSAIDsの使用が細菌由来毒素の機能に及ぼす影響を検証する。ILYやSLSなどの細胞溶解毒素とNSAIDsを共存させた際の赤血球や単球系細胞への影響を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた試薬の在庫切れのため調達が間に合わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
細菌由来の細胞溶解毒素に対する抗炎症薬の効果を検証する。CDC、ILYとNSAIDsとの相互作用を溶血活性から算定する。
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