研究課題
連鎖球菌が産生する細胞溶解毒素、分子内環状構造形成毒素、N 末端追加ドメイン含有毒素、のファミリーから膜コレステロール依存性、ヒト特異性、小児川崎病との関連性などに目を向けて機能解析を行った。細菌感染臓器における深部膿瘍形成因子であるコレステロール依存性細胞溶解毒素 (CDC)、ヒト細胞にのみ親和性を示し重篤な症状を引きおこすインターメディリシン (ILY)、小児川崎病発症因子の可能性が高いヒト血小板凝集因子 (Sm-hPAF)、流産との関連が疑われるバジノリシン (VLY)、を題材として考えるとき、細菌感染時に対症療法的に使用される非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の連鎖球菌由来毒素の活性修飾についての解析を進めた。N-phenylanthranilic acid構造を持つNSAIDのミトコンドリア透過性遷移(mPT)誘導能を立体疎水性パラメータ(dGW)を指標に検証した。メフェナム酸は無機リン酸依存的にmPTを誘導した。ジフェニルアミンはPiに非依存的にmPTを誘導した。メクロフェナムは低濃度からmPT誘導した。また、セレコキシブによるmPT誘導はシクロスポリンA (CsA) で阻害されず、カルシウムによるmPT誘導とは異なる性質と確認できた。セレコキシブはSF6847の脱共役作用を阻害し、ミトコンドリアマトリックスからALDH2、HMGCS2の遊離を誘発するなど膜作用を介して機能を発現していた。現在、標的細胞認識機構を解析し、感染および症状発現の制御、ならびに、治療薬開発について模索している。また、グラム陽性菌由来SrtAの転移反応を利用し薬物送達システムを構築した。転移基質あるいは受容基質となるペプチドを調節することで、標的化分子LTBPを含むペプチドを転移したリポソームは標的がん細胞に結合性を示した。
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Biol Pharm Bull
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