研究課題/領域番号 |
15K08114
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桂 敏也 立命館大学, 薬学部, 教授 (10283615)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬物動態 / 薬物トランスポーター / 副作用 / 薬物相互作用 / 組織移行性 |
研究実績の概要 |
小腸や腎臓、肝臓などの上皮細胞では様々な薬物トランスポーターが発現し、薬物体内動態の規定因子として重要な役割を果たしている。これまで、種々薬物トランスポーターの構造・機能解析が精力的に進められ、個々の薬物動態学的意義が明らかにされつつあるが、薬物の組織移行における薬物トランスポーターの関与と、その結果生じる毒性(副作用)発現との関係について系統的に解析した例はほとんど見当たらない。本研究では、薬物の毒性発現組織における薬物「トランスポーターの発現を網羅的に解析し、さらに薬物の取り込みと毒性発現の関連について精査することによって、新たな副作用発現機構を解明するとともに、その防御法開発の基盤構築を目的とする。 本年度は、昨年度に引き続いて腎臓における勇気カチオントランスポーターに焦点を当て、検討を進めた。まず、ヒト有機カチオントランスポーター (OCT2, MATE1, MATE2-K) に対するセロトニン受容体拮抗薬の阻害効果について詳細に検討し、そのin vitroでの阻害定数と臨床での血中濃度から、薬物相互作用発言の可能性について明らかにした。さらに腎有機カチオントランスポーターの基質であるビグアナイド系糖尿病薬メトホルミンとヨード造影剤の薬物相互作用が知られていることから、ヒト有機カチオントランスポーター を介したメトホルミン輸送に及ぼすヨード造影剤の影響について検討を行った。その結果、血管側に発現するOCT2を介したメトホルミン輸送にはヨード造影剤は影響しないことが判明した。現在MATE1, MATE2-Kを介したメトホルミン輸送に及ぼす影響について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物を用いた解析も予定していたが、研究室を移動後に動物を用いた実験系が立ち上がっていないため、検討方法を再考する必要があるため
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今後の研究の推進方策 |
ヒト由来の培養細胞やヒト型薬物トランスポーターの発現系を用いた機能解析を中心に検討を進め、ヒトでの副作用発現の予測法確立のための基盤情報を収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は概ね計画通りの支出であったが、前年度未使用額を使用しきれなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト由来培養細胞やヒト型薬物トランスポーター発現系を用いた検討を重点的に実施する予定であり、そのために必要な試薬、消耗品等を購入する予定である。
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