食事の影響を受けず、安定した吸収性を有し、かつ投与量軽減により消化管障害の減弱を可能とする「次世代型NSAIDs 口腔内崩壊型ナノ結晶製剤」の開発を目指すべく、前年度確立したインドメタシン口腔内崩壊型ナノ結晶製剤の消化管吸収機構とメロキシカム口腔内崩壊型ナノ結晶製剤の処方設計及びその有用性について検討を行った。 1)インドメタシンナノ結晶からなる口腔内崩壊錠の製造と小腸粘膜透過機構の解明: インドメタシンを用いた口腔内崩壊型製剤を経口投与することで、高いバイオアベイラビリティを示すことを示した。また、この高い薬物小腸膜透過性(吸収性)にはエンドサイトーシスが関わっていることを見出した。 2)メロキシカムナノ結晶の消化管障害性: NSAIDsの一つであるメロキシカムを用いて、口腔内崩壊型ナノ結晶製剤を作製し、アジュバント関節リュウマチモデルラットに投与したところ、これまでのマイクロオーダーの粒子からなる錠剤と比較し、バイオアベイラビリティが高く、消化管障害(胃粘膜および腸粘膜障害)の軽減に応用できることを見出した。また、昨年度作成したインドメタシンナノ結晶製剤よりも消化管障害性が低く、消化管障害の少ない治療薬として有用であることを示した。
以上、NSAIDsであるインドメタシンとメロキシカムを用いたナノ結晶口腔内崩壊錠を作成し、その消化管障害性について検討を行った。今回作成した口腔内崩壊型NSAIDsナノ結晶製剤は消化管障害性の少ない安全な剤形であるものと考えられる。
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