研究課題/領域番号 |
15K08124
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
今任 拓也 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 主任研究官 (20368989)
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研究分担者 |
堀 雄史 浜松医科大学, 医学部附属病院, その他 (20436786)
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬剤疫学 / 糖尿病治療薬 / 副作用 |
研究実績の概要 |
当該年度は、本邦の副作用自発報告データベース(JADER)を用いて、次年度より開始する病院の医療情報データベースを用いたDPP4阻害薬やSGLT2阻害薬といった新機序の糖尿病治療薬の副作用に関する薬剤疫学的研究のための仮説を形成した。 当該年度使用した副作用自発報告データベースは、2015年11月にPMDAのホームページより入手した。このデータベースより糖尿病薬をSU剤、αグルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、チアゾリジン剤、速効型インスリン分泌促進剤、DPP4阻害剤およびSGLT2阻害剤に分類し、それぞれの糖尿病治療薬ごとの副作用の報告頻度を集計した。SGLT2阻害薬以外の糖尿病治療薬では、低血糖による頻度が最も高かった。SGLT2阻害薬は、脱水が最も多くなっていた。 特にDPP4阻害薬は、インクレチンを分解する酵素を阻害する新機序の糖尿病治療薬であり、低血糖を起こしにくいことが長所であるが、低血糖による副作用の報告頻度が高くなっていた。そこで、DPP4阻害薬による低血糖の報告頻度について、経時的に検討したところ、発売開始時点で急激に増加し、約一年後に減少している傾向が認められた。さらに、このDPP4阻害薬と他の糖尿病治療薬との併用状況を検討したところ、糖尿病治療薬の種類にかかわらず、DPP4阻害薬と他の糖尿病治療薬を併用していた者で、低血糖の報告が増えていた。よって、DPP4阻害薬は、他の糖尿病薬との併用により、糖尿病薬治療薬の血糖降下作用を増強させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本邦の副作用自発報告データベースの解析により得られた結果から、まず、分担研究者の所属機関である大学病院の医療情報データベースを用い、今年度JADERによる解析によって得られた新規糖尿病治療薬の一つであるDPP4阻害薬と他の糖尿病治療薬との併用による膵炎および低血糖への影響について調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、PMDAにて公開されている副作用自発報告データベースを用い、統計解析を実施することができたため、人件費等を使う必要がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、規模の大きなデータベースを使用するため、そのデータベースの管理および統計処理を実施するためのPCソフトなどの購入を予定している。また、共同研究施設への出張や統計解析手法の習得のための出張を予定している。
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