研究課題
本研究課題「グローバル臨床分離株ライブラリー構築を主軸としたHIV Env多様性対策研究」は、4つの研究計画、(i)グローバル臨床分離ウイルスライブラリー・データベースの確立、および(ii)「共通性」、(iii)「画一化」、(iv)「阻害剤組み合わせ」による各Env多様性対策研究から構成される。本年度は、本研究を加速度的に進めるために、「共通性」・「画一化」・「阻害剤の組み合わせ」の各研究から構成される「多様性対策」の主軸である「Env標的阻害剤」に関して、合成、設計、およびスクリーニングを集中的に展開した。結果、多様性Envの中で「共通性」が極めて高い(A)主要レセプターCD4結合領域、(2)コレセプター結合領域、および(3)Env gp120-Env gp41が非共有結合で接する境界領域、を各々標的とする約200化合物の「新規Env標的阻害剤」を、設計・合成・評価することができた。その中から、Env高次構造を変化させる作用を有し、Envの「画一化」に繋がる有用候補化合物を見出すこともできた(Chem Med Chem 2016, Bioorg Med Chem Lett 2016)。また、今回新たに見出した、「新規Env標的阻害剤」を加えることで、多様性対策を念頭にした「阻害剤組み合わせ」の至適ペアの同定をさらに進めることができた(J Virol Methods 2016, Jpn J Infect Dis 2016)。特に、本年度は阻害剤同士の組み合わせだけに留まらず、抗HIV中和抗体も含めた網羅的な至適ペアの解析を進めることができた。同時に、臨床分離株の分離およびライブラリー構築に関しては、昨年度に引き続き展開することができた。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題を推進するための4つの研究計画、(i)グローバル臨床分離ウイルスライブラリー・データベースの確立、および(ii)「共通性」、(iii)「画一化」、(iv)「阻害剤組み合わせ」による各Env多様性対策研究に関しては、「本年度の研究実施計画」および上記「研究実績の概要」で示した通り、順調に進行している。特に本年度は、本研究を加速度的に進めるために、「共通性」・「画一化」・「阻害剤の組み合わせ」の各研究から構成される「多様性対策」の主軸である「Env標的阻害剤」の合成、設計、およびスクリーニングを集中的に展開し、約200化合物の新規Env標的化合物をライブラリーに加えることできた。結果、その中から有用候補化合物および有用組み合わせを見出すことができ、次年度の研究を順調に進めることが可能である。
研究実施計画でも示したが、次年度は本年度に引き続き、かつ、加速度をつけて、三つの「Env多様性」に対する対策研究(共通性・画一化・阻害剤組み合わせ)を展開する。特に「画一化」で行っているin vitro耐性誘導は、一部開始されているが、1パッセージに7日程要すること、かつ、各臨床分離株において耐性獲得速度に差が生じることから、研究期間内を通じて行う予定である。最終的には、「グローバル臨床分離ウイルスライブラリー・データベース」の構築を起点に、三つの「Env多様性」対策研究(共通性・画一化・阻害剤組み合わせ)から、各観点におけるEnv多様性対策スコアの高い化合物を同定し、新規治療法および新規抗体誘導法等の開発に導くことを目指す。
推進方策においても示したが、次年度は、三つの「Env多様性」に対する対策研究(共通性・画一化・阻害剤組み合わせ)を多元的に行っていく予定であり、本年度よりも消耗品の使用の増加が予想されたため、本年度の研究費の一部を次年度に使用することにした。
三つの「Env多様性」に対する対策研究(共通性・画一化・阻害剤組み合わせ)に使用する。内訳としては殆どが消耗品費の予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 図書 (1件)
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