研究課題
本研究課題「グローバル臨床分離株ライブラリー構築を主軸としたHIV Env多様性対策研究」は、4つの研究計画、(i)グローバル臨床分離ウイルスライブラリー・データベースの確立、および(ii)「共通性」、(iii)「画一化」、(iv)「阻害剤組み合わせ」による各Env多様性対策研究から構成される。昨年度から引き続き、各臨床株の分離と共に、「共通性」・「画一化」・「阻害剤の組み合わせ」から構成される「多様性対策」研究の主軸である「Env標的阻害剤」に関して、合成展開を進めた。得られた候補化合物に対して、「共通性」を目的に、各臨床分離株を用いて感受性試験を展開したところ、ブロード阻害効果を示す化合物として、トリテルペン誘導体群を見出すことに成功した。続いて、「共通性」を目的として、各分離株を用いてトリテルペン誘導体に対してin vitro 耐性誘導を試みたところ、トリテルペン誘導体に対する主要耐性変異は、各誘導体および各分離株に共通してgp41 ectodomainに生じ、同時にEnvの画一化も進むことが示された。加えて、「阻害剤の組み合わせ」を目的として、Env領域を共通標的領域とする中和抗体群およびトリテルペン誘導体群の各組み合わせにおいて抗HIV作用を解析したところ、いずれの組み合わせにおいても相乗効果が示され、各々をスコア化することができた。以上、主要新規Env標的阻害剤を用いた、三つの「Env多様性」対策研究(共通性・画一化・阻害剤組み合わせ)で有用データが得られ、各観点におけるEnv多様性対策スコアの高い化合物を同定することができ、これらは新規治療法および新規抗体誘導法等の開発の一助となると考えられる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件)
Frontiers in Microbiology.
巻: 8 ページ: 390
10.3389/fmicb.2017.00390.