前肢にはでき方の異なる2種類の骨がある。一つ目は骨化の途中で軟骨段階を経るもの(軟骨性骨化)で、前肢の大部分の骨が含まれる。もう一方は軟骨段階を経ないもの(皮骨)で、ヒトでは鎖骨がこれに相当する。魚では、胸びれがヒトの腕に相当し、その骨格は大部分が軟骨性骨化で作られ、それらが鎖骨などの皮骨を介して頭の骨につながっている。ヒトでは頸(くび)が長く、前肢は頭につながっていない。進化の過程で頸が長くなった機構を調べるため、頸の長いニワトリの赤ちゃんを見ると、頸全体に鎖骨があって、前肢が鎖骨を介して頭につながっており、魚と基本的に同じ形だった。よって頸は鎖骨を伸ばして長くなったのである。
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