研究実績の概要 |
骨格系の主となる長管骨の伸長は骨端部の成長軟骨板に依存するが、如何なる機序のもとに成長板が骨形成に結び付いているのか、その詳細は未だ不明な点が多い。本研究では、Genetic Lineage Tracing 法によって成長板由来のHhシグナル受容細胞に連なる細胞系列を可視化し、骨芽細胞/破骨細胞を中心とする骨代謝経路との関連性について検証した。具体的には、成長軟骨板からのHhシグナルを受容した細胞集団が、長管骨の骨化プロセスに如何に組み込まれるかを、Gli1creERマウスによるGLT法で作製した細胞系譜地図にて精査した。 その結果申請者らは、成長板軟骨が産生するヘッジホッグ蛋白が作用した特定の細胞(成長板の影響下にある細胞)が、骨を構成する主要な細胞成分へと分化することを明らかにした。さらにそれらは骨組織だけでなく髄腔を満たす骨髄間質の造血システムの要となる造血幹細胞ニッチにも直接コミットしうる可能性も見出した。研究成果の一部は、Histochem Cell Biol誌(Haraguchi et al., Histochem Cell Biol. 2018 Apr;149(4):365-373.)において、筆頭著者及び責任著者として発表した。
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