本研究では、髄注indocyanine green(ICG)の吸収動態を観察することで、脳脊髄液減少症(CFH)鑑別指標となるRIシンチ陽性像の整合性と、リンパ管前通液路を介してICGトの髄膜及び神経根内の動態を解析した。注入実験では、解剖体・成猿の腰仙髄領域において神経根遠位に至るICG浸潤が全髄節・両側で認められた。尚、浸潤域には左右差・髄節差が出現した。走査型電子顕微鏡観察では、神経根基部内面に篩状斑が認められた。CFHの診断基準となるRIシンチ陽性像は、硬膜の機械的破綻に伴う異常な髄液漏出を反映するばかりでなく、神経根に生理的浸潤した正常髄液像が多数含まれる可能性が示唆された。
|