研究課題/領域番号 |
15K08138
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中谷 雅明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70422095)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞極性 / 平面極性 / タンパク質リン酸化 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
本研究は、細胞極性に関わるaPKC遺伝子と細胞集団の極性制御に関わるWnt-PCPシグナルの構成因子Daam1遺伝子に着目した一連の実験生物学的検討である。一連の解析により、1細胞を制御する極性シグナルと多細胞を制御する極性シグナルの関連性を明らかにする。 本研究では上皮細胞内でのaPKCとDaam1の相互作用によりリン酸化が変動する分子が、上流因子か下流因子か、2次性変動遺伝子かどうかを生化学的、細胞生物学的、分子生物学的に検証している。上皮細胞での機能解析を目的として、遺伝子ノックアウト上皮細胞株の樹立を試み、aPKCとDaam1の相互作用が具体的な表現形として得られるかを、実験技術も含めて検討した。 作製した細胞株を用いて、2次元(on plate)、2.5次元(on gel)、3次元(in gel)の培養条件での細胞の挙動をLive cell imagingシステムを用いて経時観察している。また、経時観察と全く同様のタイムコース・同条件で培養したサンプルを用いて、細胞極性マーカー、細胞骨格、細胞内小器官、平面極性関連因子に対する特異抗体で免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡を用いて観察している。 さらに、バイオ・インフォマティクス・データベースに蓄積されている膨大な情報と照らし合わせて、細胞極性病を定義する病態の探索と検証をリン酸化プロテオミクス解析において同定された遺伝子群との関連性を検討し、樹立した上皮細胞株を用いて生化学的、細胞生物学的な検討を行っている。 これらの一連の研究成果により、上皮細胞の極性を維持する分子メカニズムが、1細胞内では共通であるが、その下流の分子群の組成を代えることにより平面極性をも制御することが明らかとなりつつある。本研究で着目したaPKCとDaam1は介在分子を伴って分子複合体を形成し、個体の表現形として平面極性を制御する事、介在分子のリン酸化を介してシグナルの振り分けが生じていることが、本研究の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、リン酸化プロテオミクス解析による下流候補分子の同定には成功した。
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今後の研究の推進方策 |
予算を繰り越ししたため、引き続き検討を行う。 具体的には、下流タンパク質群のうち、有力である置換が得られる分子について、生化学的、細胞生物学的解析を行う。解析にあたり、抗体の入手、実験系の膠質を行う必要があるので逐次進める。 購入した解析機器は、極性制御機構の下流因子のうち、転写を介した因子かどうかの判定に用いる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は順調に進行しているが、外注予定であった実験の施行に際し、十分な事前検討を行う必要があり、この分については次年度に予算を繰り越して施行する予定である。
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