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2017 年度 実施状況報告書

メダカ突然変異体を用いた腸管閉鎖症発症機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08139
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

小林 大介  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60376548)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード腸管閉鎖症 / 管腔形成 / 発生 / メダカ
研究実績の概要

腸管閉鎖症は、先天的に腸の一部が閉鎖・狭窄する疾患である。本研究では、胚発生期に腸管閉鎖を示すメダカ突然変異体を用い、その遺伝的要因と、発症のメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は変異体のライブイメージングによる表現型解析と、野生型原因遺伝子のトランスジェニック個体を利用した変異体胚のレスキュー実験を行った。
1 トランスジェニック個体を用いたライブイメージング
前年度に作成した腸管上皮の細胞膜にGFPを発現するトランスジェニック系統に加え、同じく腸管上皮にLifeact-mCherryを発現するトランスジェニック系統を作成した。Lifeact-mCherryはF-actinの動態を観察できるとされており、Phalloidinを用いた実験で観察されたF-actinの異常集積の様子がライブで観察できることが期待された。しかしながら、この系統を用いた実験では変異体胚におけるF-actinの異常集積を再現する結果は得られなかった。
2 原因遺伝子のトランスジェニック個体を用いた変異体のレスキュー
ポジショナルクローニングによって同定した原因遺伝子が、真に腸管閉鎖の原因か否かを確認するために、原因遺伝子のmRNAを利用したレスキュー実験を試みていたが、全長mRNAの合成が困難であった。そこでトランスジェニックによる変異個体のレスキューを試みた。現在野生型の原因遺伝子をトランスジーンとして導入した個体が得られており、生殖系列に入っていることも確認している。今後はこの系統を利用して、レスキュー実験を行う予定である。
以上の結果は第123回日本解剖学会総会において報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1. 変異体の表現系解析
変異体胚の腸管上皮において、腸管の閉鎖に先駆けて腸管の一部の頂端側と基底膜側にF-actinの異常集積が認められた。更にアクトミオシン系の制御に関わるmyosinIIの調節軽鎖(MRLC)のリン酸化状態を調べた所、MRLCのリン酸化が亢進していた。F-actinの異常集積が認められた部位は腸管閉鎖が生じる部位と一致することから、腸管閉鎖の原因はMRLCのリン酸化の亢進がMyosinIIの活性化及びactinの過剰な重合を引き起こし、その結果腸管閉鎖に至ると考えられた。そこでmyosinIIの特異的阻害剤であるBlebbistatinで胚を処理した所、腸管閉鎖が抑制された。従ってMyosinII活性の亢進が腸管閉鎖の原因だと結論付けられた。
2. 変異体の原因遺伝子の同定
ポジショナルクローニングにより原因遺伝子を1遺伝子に絞り込んでいる。この遺伝子の変異が真にこの変異体の表現型の原因か否かを調べるために、変異体胚を野生型mRNAでレスキューすることを試みた。しかしながら全長mRNAの合成が困難であったため、変異体のレスキューを野生型遺伝子のトランスジェニックにより行うことを試みた。現在野生型遺伝子のトランスジェニック個体は得られており、変異体との交配を行っている。得られた個体を用いて、近い将来に原因遺伝子を確定できる予定である。

今後の研究の推進方策

今後はアクチンの局所的な重合が腸管上皮にどのような変化を与えることで最終的に腸管閉鎖に至るのかについて解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

レスキュー実験のためのトランスジェニック系統の作成に時間を要したため。現在既にトランスジェニック系統を確立しており、この系統を用いた実験データを加えて論文を投稿予定である。次年度使用額は論文の英文校正並びに成果発表に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 腸管閉鎖を示すメダカ突然変異体の解析2018

    • 著者名/発表者名
      小林大介
    • 学会等名
      第123回日本解剖学会総会

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公開日: 2018-12-17  

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