研究課題/領域番号 |
15K08143
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
燕 軍 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20316350)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内臓神経線維 / 結腸 / 上下腹神経叢 / 下下腹神経叢 / 骨盤神経叢 / 腸内神経叢 / 順行性標識 / ラット |
研究実績の概要 |
ヒト消化管に分布する内臓神経線維(特に骨盤神経叢の成分)の観察は古くから報告があるが、一般的にその「観察」は医学部学生実習の遺体を利用し実施された。しかし、腹部内臓を取り出された遺体の後腹壁に沿って走行する「内臓神経」線維の観察は極めて難しい状態になることは現実である。臨床手術に役立つマクロ分野の「結腸に分布する副交感神経線維」に関する論述が今になっても不明瞭のままである。 本研究はまず、マクロ解剖の手法を利用し、ヒトの「後腹壁を走行する」内臓神経線維を詳細に観察し、実験動物のラットのその神経線維と比較して、さらに動物実験で「結腸に分布する副交感神経線維」の由来、分布領域、外来性内臓神経と腸内神経線維との関係を順・逆行性神経線維標識法、免役染色法及び発生学的手法で明確にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肉眼解剖の手法でヒト(2体)とラット(5匹)の上下腹神経叢(下行結腸に分布する神経束)の「末梢神経の走行パターン」を詳細に観察した結果、両者の間に明確な違いが認められなかった。この結果をふまえ、ラット(10匹)を麻酔下で、上下腹神経叢を剖出しDiIで標識して、末梢部の分布とニューロンの局在を調べた。 末梢部の分布について、上下腹神経叢が結腸のかなり広範囲に分布しているのではないかという示唆が得られたが、ニューロンの局在については、脊髄のS2、3、4の分節に観察されなく、交感神経幹の腰交感神経節にしか観察されなかったことから、ラットの上下腹神経叢の神経枝の種類が主に「交感神経線維」ではないかと思われる。 ゆえに、結腸に分布する骨盤由来の「副交感神経線維」がもし存在するとすれば、「下下腹神経叢」の成分だと推測される。
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今後の研究の推進方策 |
ラット(10匹)を使用し、麻酔下で「腹部正中切開」し、直腸末端部に到達して、「直腸」の末端から「結腸」に進入する副交感神経線維(下下腹神経叢の線維)を剖出してDiIで標識しその末梢分布とニューロンの局在を調べる。同時にラット(5匹)の上・下下腹神経叢両方を標識し、両者の違いを見いだす。 さらにトランスジェニックマウスの初期胚を用い切片及びホールマント標本をVIP法で染色し、中・後腸動脈と一緒に分布する副交感神経線維の分布を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、実験動物の使用個体数が予定よりやや遅れているので、それに薬品の購入もその分残されていった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に実験動物を追加し、薬品の購入も増えると考えている。 実験動物購入、薬品の購入、学会の旅費等の支出の予定
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