研究課題/領域番号 |
15K08150
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
飯野 哲 福井大学, 医学部, 教授 (40242854)
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研究分担者 |
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 准教授 (20377451)
橋本 隆 福井大学, 医学部, 特命助教 (60712891)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 間質細胞 / 線維芽細胞 / カハール介在細胞 / 消化管 / PDGF受容体α / c-Kit |
研究実績の概要 |
間質細胞あるいは線維芽細胞は各種臓器の実質細胞間を埋める構造として、また細胞外基質の産生細胞とされるが、臓器における特異的機能については不明な点が多い。消化管で考えるとペースメーカー機能を持つカハール介在細胞(ICC)が特異的な間質細胞として知られるが、他には粘膜上皮直下の筋線維芽細胞、粘膜固有層や粘膜下組織の線維芽細胞、筋層内の線維芽細胞、漿膜直下の線維芽細胞などが観察される。またこれら間質細胞は病態(消化管炎症など)において中心的な変化を示すことが知られている。 本年は研究を開始するにあたり、各種遺伝子改変マウスの導入と増殖および形態解析を進めるための抗体作製を行った。これまでに導入したPDGF受容体α-EGFPマウスとc-Kit-copGFPマウスに加え、KitL-GFPマウスやタモキシフェン誘導可能なCreERマウスとその解析のためのレポーターマウスを導入した。これらのマウスの増殖がすすみ今後の解析を進める準備が整った。 KitL-GFPマウスの解析から、c-Kitリガンドを発現する細胞が少なくとも筋層線維芽細胞(PDGF受容体α発現細胞)であり、これらの細胞は受容体であるc-Kitを発現するICCの近傍(隣接)に位置することが形態学的解析から明らかとなった。消化管筋層に存在する2種類の間質細胞が隣接してリガンドと受容体を発現することが分かり、機能的な意味を示すと考える。 線維芽細胞に広く発現する分子としてPDGF受容体αが特異的であると分かっていたが、加えてサイトグロビン(グロビン蛋白質の1種)も同細胞に広く分布することから、今後線維芽細胞のサブタイプ分類について検討を進めることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
間質細胞や線維芽細胞を識別するためのレポーターマウスおよびCre-loxPシステム用のマウスが十分に利用可能まで増殖し、加えて免疫組織化学法による識別を可能とする各種抗体(c-Kit、PDGF受容体α、サイトグロビンなど)が用意できたことから予定通りの進捗であると考える。加えてKitLマウス解析から線維芽細胞とカハール介在細胞の位置関係意味づけが可能となり、サイトグロビン発現細胞が間質細胞に特異的に発現することが明らかとなるなど結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られたデータであるKitLマウスの解析とサイトグロビン発現細胞の解析を進めることで、間質細胞の機能的解析が進められると考えている。 当初の予定である遺伝的細胞系譜追跡法を線維芽細胞で行うための準備が整ったことを受けて、Cre-loxPシステムを実際に利用して同細胞の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体作製のためのウサギとラットを購入飼育する予定であったが、抗原となる部分ペプチド作製が十分すすまなかったため、その予算を次年度使用とするためである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由通り、抗体作製のためのウサギとラットを購入し飼育する費用、さらに抗体精製のためのGSTカラムの購入などを行う。
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