哺乳類は安定した約24時間の周期を示す内因性の生物時計をもっている。この機能を支えているのは視床下部にある視交叉上核(SCN)である。我々はこれまでにSCNの背内側領域にこの周期よりも短いリズムを発振する細胞群が存在することを明らかにし、その領域を起点とする位相波(時計遺伝子の発現が内外側方向に伝播する波)に着目してきた。今回、これまでに知られていた内外側方向への位相波の他に吻尾軸方向の位相波の広がりが存在することが、マウスSCNを用いた組織化学的な検索によってわかり、生理学的機能の不明な位相波について基礎的な理解が深まった。
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