研究課題
自己免疫性甲状腺疾患(AITD)感受性遺伝子として同定したZFAT(zinc-finger gene in AITD susceptibility region / zinc-finger with AT-hook) の赤血球分化における機能的役割の解明とその機能発現のための分子機序の解明を目指して、コンディショナルZFAT欠失マウスの胎児発生期における赤血球分化を中心にZFATの機能解析を進め、以下のような研究成果を得た。タモキシフェン投与による時期特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠失マウスの表現型解析により、胎生12.5日~13.5日での胎児肝臓において赤血球細胞数の減少が示され、赤血球分化が抑制されていることが示唆された。ZFATを欠失させたときの、赤血球分化段階におけるフローサイトメトリー解析等による表現型解析の結果、各分化段階での細胞数の減少が示された。さらに、ZFAT欠失による発現変動遺伝子の発現プロファイル取得のための網羅的発現アレイ解析を実施し、造血細胞関連遺伝子を含む発現変動遺伝子群を取得した。また、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562細胞では、ZFAT発現抑制時においてNaB(酪酸ナトリウム)による赤芽球系細胞への分化誘導を行い、コンディショナルZFAT欠失マウスを用いた解析に加え、K562細胞の分化誘導時におけるZFATの機能を検討した。
2: おおむね順調に進展している
タモキシフェン投与による時期特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠失マウスの表現型解析により、胎生12.5日~13.5日での胎児肝臓において赤血球細胞数の減少が示され、赤血球分化の抑制における更なるZFATの分子機序の解明に向けて研究が進んでいる。
ZFATの生物学的機能ネットワークの解明を目指して、時期特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠失マウスおよびK562細胞を対象にChIP-seq解析法による赤血球細胞におけるZFAT転写制御遺伝子の同定を試みる。既に、得られた表現型解析結果および発現変動遺伝子群から推察されるZFATの機能が、どのような標的遺伝子を転写制御することにより、もたらされている現象であるのかを解明を試み、研究を遂行する。
すべて 2015
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