研究課題
自己免疫性甲状腺疾患感受性遺伝子として同定したZFAT(zinc-finger gene in AITD susceptibility region) の赤血球分化における機能的役割の解明とその機能発現のための分子機序の解明を目指して、コンディショナルZFAT欠失マウスの胎児発生期における赤血球分化を中心にZFATの機能解析を進め、以下のような研究成果を得た。タモキシフェン投与による時期特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠失マウスの表現型解析により、胎生12.5~13.5日での胎児肝臓において赤血球系細胞の細胞数の減少が示され、赤血球分化が抑制されていることが示唆された。フローサイトメトリー解析等の結果から、赤血球の各分化段階での細胞数の減少が示され、分化過程にみられる表面抗原の発現変化にも差異が示された。赤血球分化においてZFATの転写制御標的遺伝子の同定による分子機序の解明を試みるため、ZFAT発現抑制時の網羅的発現アレイ解析により造血細胞関連遺伝子を含む発現変動遺伝子群を取得し、胎生12.5日での胎児肝臓を対象にChIP-seq(クロマチン免疫沈降シークエンス)解析により、ZFATのゲノム結合領域を同定した。さらに、マウス胎児肝臓において赤血球分化抑制が細胞内因性によるものかを検討するためにex vivo培養系を試みた。マウス胎児肝臓から赤芽球系前駆細胞を分離後、分化培養系でのZFAT発現抑制の影響を検討した結果、ZFAT発現抑制により分化抑制傾向およびアポトーシス感受性の増大が示された。これらのコンディショナルZFAT欠失マウスの解析から得られた表現型解析、発現プロファイルおよびChIP-seq解析の結果に基づき、ZFATの機能とZFATの転写制御標的遺伝子およびZFAT欠損による発現変動遺伝子との関連性を検討した。
すべて 2018
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Int J Mol Med.
巻: 42 ページ: 2595-2603
10.3892/ijmm.2018.3806.