研究課題/領域番号 |
15K08171
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小金澤 禎史 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80431691)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 循環調節 / 高血圧 / 交感神経 / 呼吸中枢 |
研究実績の概要 |
心臓・血管運動を支配する交感神経活動の先天的な異常亢進は、恒常的な心機能亢進および抵抗血管収縮による神経性高血圧をもたらす可能性が示唆されているが、その脳内メカニズムの詳細はブラックボックスとして扱われている。そこで、本研究課題では、交感神経活動にみられる呼吸性リズムに着目し、呼吸中枢と循環中枢の間のニューロンネットワークを詳細に解析し、なぜ、交感神経活動の異常亢進による神経性高血圧がもたらされるのかについて、その本態を解明することを目的とした。その結果、高血圧ラットでは正常ラットと比較して、吻側延髄腹外側部(RVLM)に存在する交感神経プレモーターニューロンに対する呼吸中枢からの吸息相における抑制性入力が減弱しているとともに、より多くの交感神経プレモーターニューロンが呼吸中枢からのシナプス入力を受け入ていることが明らかとなった。このことにより、交感神経プレモーターニューロンへの吸息相における抑制性入力の減少および興奮性入力の増加が高血圧ラットにみられる交感神経活動の亢進を引き起こしている可能性が示唆された。また、正常ラットにおいて、硫化水素合成酵素阻害剤を投与したところ、呼吸パターンが低酸素時にみられる呼吸パターンに変化することが確認された。したがって、硫化水素合成系を阻害することにより、実験的に呼吸中枢において形成される呼吸パターンを変化させた際の呼吸中枢と循環中枢の間の動的なネットワーク検討を検討ことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
循環中枢ニューロンに対する呼吸中枢からの入力様式に関して、その大まかな性質が明らかになるとともに、今後の研究遂行上重要となる呼吸パターンの動的変化をもたらす条件を新規に見出すことに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の実験結果をもとに、さらに循環中枢ニューロンに対する呼吸中枢からの入力様式を明らかにするとともに、呼吸パターンが動的に変化した場合の呼吸中枢と循環中枢の間のネットワークの変化を明らかする。 また、呼吸中枢ニューロンは脳幹内に広く分布しているが、どの呼吸相に関連した活動を持っているかという特徴によりその存在部位はある程度局在していることが知られている。したがって、平成27年度の研究により高血圧ラットにおいて循環中枢ニューロンへの入力が減弱していることが明らかとなった吸息相に活動を示す呼吸中枢ニューロンをパッチクランプ記録により同定し、ビオチンによる染色を行うことにより、その形態的な特徴を解析する。
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