研究課題
Elongin A (EloA)のES細胞における標的遺伝子の網羅的探索。抗EloA抗体を用いたChIP解析により、EloAの局在が認められた遺伝子上にRNAポリメラーゼII (Pol II)が共局在することを確認するために、抗Pol II抗体 (D8L4Y)を用いてChIPシークエンスを行った。その結果、野生型ES細胞では、レチノイン酸(RA)による神経分化誘導刺激後、Hox遺伝子上にEloAと同様のPol IIの集積パターンが認められた。一方、EloAホモ欠失型ES細胞では、転写開始点付近にPol IIの集積が認められたが、それ以降の遺伝子上では、野生型に比べて顕著にPol IIの集積が低下していることが判明した。これらのことから、EloAが標的遺伝子の転写開始点上にリクルートされたPol IIのリリースに関与している可能性が示唆された。神経分化におけるElongin Aの制御機構の解析EloAとElongin BC、Cullin 5 (Cul5)/Rbx2からなるユビキチンリガーゼE3複合体の形成がRA刺激によっても誘導されることが判明しており、同複合体がPol Ⅱのユビキチン化/分解とは別に転写の促進にも働いている可能性が示唆されている。最近、EloAが神経分化に関わる遺伝子の発現に重要な働きをしていることが知られているCSBと相互作用することが報告された。そこで、蛍光タンパク質を融合させたEloA、Cul5、CSBを発現させた細胞を用いて、蛍光エネルギー共鳴移動 (FRET)を利用したライブイメージングにより、生細胞内でのEloA-E3複合体とCSBとの相互作用について解析を行ったところ、1)UV照射などのDNA傷害型刺激ならびにα-アマニチン (Pol Ⅱ伸長阻害剤)処理などのDNA非傷害型刺激よって、同複合体とCSBの結合が誘導される、2)CSBがDNA傷害部位へのEloA-E3複合体を安定にリクルートするのに必要である、ことが判明し(Weems, Yasukawa et al. J. Biol. Chem. 2017) 、EloAとCSBが神経分化関連遺伝子の転写制御に関わっている可能性が示唆された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J. Biol. Chem.
巻: 292 ページ: 6431-6437
10.1074/jbc.C117.777946