本研究は、ミトコンドリアに局在する酵素であるCdk5rap1の生理機能及び疾患との関連を明らかにした。Cdk5rap1は4種類のミトコンドリアtRNAをチオメチル化修飾する。同修飾は、コドン・アンチコドン結合の強化を介して効率的なタンパク質翻訳に重要である。Cdk5rap1の欠損マウスでは、ミトコンドリアでのタンパク質翻訳量が低下したことで電子伝達系の形成及び機能が障害され、骨格筋や心筋におけるエネルギー代謝が低下した。また、ミトコンドリア病患者においてCdk5rap1によるチオメチル修飾の低下が疾患の重篤度と相関した。
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